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道中

 ラックフェルン城は、領都を見下ろす丘の上に建っていた。

「……やっぱりついて来た」

 ロジーナは城へと続く坂道を上りながら、ぽつりとつぶやいた。

「行くと言っていただろ?」

 背後から淡々とした声が返ってくる。

「そうだけど……」

 立ち止まって振り向くと、そこにはチャコールグレーのシンプルなチュニックに身を包んだクレメンスが、当然のように依頼品の入った箱を抱えて立っていた。普段はきっちり整えらている前髪も、今は無造作に下ろされ、しかも、なぜか不自然ではない程度に魔力を抑えている。

 ロジーナは盛大にため息をついた。


 クレメンスがああ言ったからには、絶対について来ると分かっていた。

 分かってはいたが、いざそうなると、何とも言えない脱力感が襲ってくる。

 長い髪をきっちりとまとめ、濃紺のシルクのローブをまとった、いかにも高レベルの魔術師という姿の自分とは対照的に、クレメンスは一般人と言ってもおかしくない格好をしている。そのうえ、いつの間にか依頼品である宝剣の入った少し重い箱まで持ってくれている。

 その小憎らしいほどの配慮に、感謝よりもモヤモヤした気持ちを抱いてしまう自分がいる。

 そして、そんな自分に対しても、少しだけ呆れてしまう気持ちもあり、ロジーナは口を真一文字に閉じて、早足で歩き出した。

 

 城門をくぐると、出迎えの兵士が近づいてきた。

「ロジーナ先生ですね。お待ちしておりました」

 兵士はロジーナに向かって丁寧に頭を下げる。

「どうぞ、こちらへ」

 ロジーナは兵士の先導に従い、城内へと入っていった。

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