第82話《第六階層、静かなる裏切り》
第六階層――全室ホール。
床に刻まれたスタートラインの上に、冒険者たちが整列していた。
蒼紋騎士団、
デビル・ダークネス・ファントム、
そして――黒薔薇の翼の“薔薇”だけがそこに立つ。
カリナ。その存在感だけで、周囲の空気が張り詰める。
他のパーティーはビビったのかいなかった。
巨大魔導モニタが点灯し、
メメの声がホール全体に響き渡る。
『定刻になりましたので〜
それでは第六階層、スタートです!』
その瞬間――カリナの姿が消えた。
アーサーが叫ぶ。「……くそ!ストレージか……!」
だがすぐに切り替える。
「構わない!全員、先を急ぐぞ!」
蒼紋騎士団が一斉に走り出す。
グラディウスはこめかみに指を当て、
謎のポーズを決めながら言った。
「……我々も、ボス部屋前で待つとするか」
親衛隊が小声でざわつく。
「またそのポーズ……」
「恥ずかしい……」
「お腹減った……」
――ストレージ内
カリナはソファに座り、
酒瓶を片手にニヤリと笑った。
「簡単に引っかかったな」
マコトも頷く。
「作戦通りですね」
ルシファーは肩をすくめた。
「蒼紋騎士団といい、
デビル・ダークネス・ファントムといい……
何してくるか分かりませんからね」
ルナが誇らしげに言う。
『今回は入らない。我ながらいい作戦ね』
カリナは酒をあおりながら言う。
「別に入らなければいいだけ……何のペナルティもない」
マコトが続ける。
「そして奴ら……一度入ったらゴールするまで出てこれない…帰還石を使うことは考えられますが」
ルシファーはソファに寝転がり
「……高みの見物といきますか」
――蒼紋騎士団
メルセデスが焦り気味に言う。
「奴ら……まだ来ませんね」
アーサーは眉をひそめる。
「おかしいな……
姿を消しているのか?」
その時、メメの実況が響いた。
『破竹の勢いで進む DDF!
その後を追う蒼紋騎士団〜!
黒薔薇の翼はまだダンジョンに入ってないぞ〜!』
アーサーは立ち止まった。
「……まさか……あいつら来ない気か?」
メルセデスが叫ぶ。「え!!あれだけ煽っといて…そんなのありなんですか!」
アーサーは拳を握りしめた。
「……ありだ。
ルール上、問題はない……!」
蒼紋騎士団の面々がざわつく。
「黒薔薇の翼……
まさかの不参加……?」
「いや、あいつら絶対何か企んでる……!」
アーサーは悔しそうに呟いた。
「……カリナ……
やりやがったな……」
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