第81話《三つ巴の第六階層》
第六階層――全室ホール。
巨大な石造りの空間は、天井まで届く柱が林立し、
まるで古代闘技場のような威圧感を放っていた。
その中央に、腕を組んで立つ女がひとり。
カリナ。
黒薔薇の翼の“薔薇”は、
堂々とした姿勢で敵を待ち構えていた。
重い足音がホールに響く。
青いマントを揺らしながら、蒼紋騎士団がホールに入ってきた。
カリナはニヤリと笑う。
「よう、騎士団」
エリザベスが即座に剣に手をかける。
「……貴様!」
だがカリナは指を立てて制した。
「ここでの PK はご法度だぜ」
エリザベスは悔しそうに歯を食いしばる。
「く……他のメンバーはどうした」
「さあな。
お前らに教えねえよ」
その時、蒼紋騎士団の奥から、
ひときわ強い気配が近づいてきた。
アーサーだ。
「随分強気だな、カリナ……
偶然死なないように気をつけろよ」
カリナは鼻で笑った。
「お前こそな」
巨大魔導モニタが点灯し、
メメの声がホール全体に響き渡る。
『黒薔薇の翼がきた〜!
蒼紋騎士団も登場!
役者は揃った〜!』
観客席の中央広場は大盛り上がりだ。
だが――
さらに空気を変える名前が掲示板に光った。
デビル・ダークネス・ファントム
『おっと〜!
ここでデビル・ダークネス・ファントムの登場だ〜!
これは波乱の予感!』
中央広場の熱気は爆発寸前。
「来たぞ最速クリアのチーム!」
「黒薔薇の翼 vs 蒼紋騎士団 vs DDFかよ!」
「今日伝説の日じゃん!」
そして――
ホールの奥から、黒い影が歩いてきた。
逆立つ銀髪。
黒いロングコート。
圧倒的な魔力。
第四王子グラディウス・アビスロード。
彼はゆっくりとカリナの前に立つ。
「……美しい方……
黒薔薇の翼の“薔薇”ですね……」
カリナは一瞬だけ目を丸くしたが、
すぐにニヤリと笑った。
「美しい……
よくわかってるじゃねえか!」
グラディウスは微笑む。
「ルシファーはどうしました?」
「ルシファーは後から来る」
その瞬間、第四王子は喉の奥で笑い始めた。
「クックックックックック……」
蒼紋騎士団が身構え、
黒薔薇の翼の緊張が高まり、
中央広場の観客が息を呑む。
三つ巴の戦いが――
ついに幕を開けようとしていた。
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