第8話 蒼紋騎士団、ネトラ遺跡へ
死霧の森の奥。
黒竜ノクス=ドラグレアが倒れた場所――
そこに、アルヴァリア王国の国王直属部隊《蒼紋騎士団》が到着した。
長身で逞しい体躯の男、
団長 アーサー・ヴァルハイト が遺跡を見下ろす。
「……ここが、終焉結晶板が反応した場所か」
金髪ショートの美人副官、
メルセデス が頷く。
「はい。ノクス=ドラグレアの反応……
そして直後に《ヴァルガ・ブラッドレイジ》の反応が確認されています」
アーサーは険しい表情で息を吐く。
「二体の伝説級が同時に……あり得ん話だ」
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◆ 遺跡内部の調査
蒼紋騎士団は遺跡へ突入した。
内部は黒焦げになり、
壁には巨大な斬撃痕が刻まれている。
アーサーは指で壁をなぞり、低く呟く。
「……これは……竜の鱗を断ち切るほどの斬撃……」
「団長、こちらを!」
魔導士が黒い鱗を多数発見した。
メルセデスが目を見開く。
「ノクスの……鱗……?
血の跡もあります。ここで殺されたのは間違いありません……
ですが……死体が無い……」
アーサーは眉をひそめた。
「あの巨大な竜を……誰かが運んだ……?
たった数時間で……?」
蒼紋騎士団の面々がざわめく。
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◆ ヴァルガの痕跡
さらに奥へ進むと、
床に黒い羽根のような残滓が落ちていた。
メルセデスが震える声で言う。
「…………狂戦士ヴァルガの魔力反応です……
ヴァルガは間違いなくここにいました」
アーサーは静かに目を閉じる。
「……ヴァルガが、黒竜を殺した……
だが……奴が死体を持ち去る理由は無い」
彼の視線は、床に残る“人間の足跡”へ向いた。
「……誰かがヴァルガを“召喚”し、黒竜を討った……?」
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◆ 王国への報告
アーサーは魔導通信を開く。
「レオニス国王陛下。報告します。
ノクス=ドラグレアは……“討伐された”と見られます」
『……討伐……? 誰がだ』
「状況的に……ヴァルガ・ブラッドレイジかと」
『……ヴァルガ……やはり復活したか……厄災め……
奴の足取りは?』
「わかりません。現在、捜索させております」
『……たのんだぞ……』
通信が切れる。
アーサーはすぐに魔導塔のガルドへ連絡を入れた。
「ガルド!」
『はい、国王様』
「緊急三国会議を手配せよ」
『……はっ!』
魔導通信が途切れ、
王国は静かに――しかし確実に動き始めた。
黒竜の死。
狂戦士の復活。
そして、死体を持ち去った“何者か”。
世界の均衡が、音を立てて崩れ始めていた。
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