第76話《決裂》
マスクを外したカリナが堂々と歩き出す。
蒼紋騎士団の面々がざわつき、次々と声が上
がった。
「か……カリナ隊長だ……!」
「本物……!」
「隊長……前と変わらぬ 凛々しい姿で……!」
涙を流す者までいる。
カリナはため息をつきながらも、
どこか嬉しそうに口角を上げた。
「……まったく……今はただの冒険者だ。
でも、お前ら元気そうで嬉しいぞ」
その言葉に、騎士団の何人かはさらに泣いた。
ひときわ豪華なテントに案内され、
折りたたみ椅子にマコト・カリナ・ルシファーの三人が座る。
カリナが腕を組んで言った。
「……で? 何が聞きてぇんだ」
周囲にはメルセデス、ミサキ、ユウタが控えている。
アーサーが手を上げた。
「まあ待て。責任者と直接話をしてくれ」
魔導モニターが設置され、
そこに映ったのは
――ガルド。
『久しぶりだの、五味マコト君』
マコトは眉をひそめた。
「……はい」
『だいぶ能力を上げたとか……成長してくれて私は嬉しい』
「……はあ」
『こうなることを私は予見していた。
私の読み通り、強くなってくれて本当に嬉しい』
「……はぃ?」
『木は熟した!
だ、今すぐ国に戻ってくれ我が国のために働いてほしい』
マコトは完全に呆れた顔になった。
「………おじいちゃん、何言ってんすか?」
メルセデスが怒鳴る。
「貴様! 大魔導士様に向かってなんてことを!」
マコトは冷たく言い返した。
「……カリナさんの妹だっけ?
ちょっと黙ってろよお前」
「……なっ!」
カリナはニヤニヤしている。
「ごめんね〜メルセデス…うちのマコトが〜よく言っとくから…ぷ」
睨みつける メルセデス。
マコトはモニターのガルドを睨んだ。
「おじいちゃんさあ?
あんた俺のこと殺そうとしたよね?
変な森に連れてってさ……完全に追放したじゃん。
今さら何言ってんの?」
『……いや、あれはがお前の能力を引き出すためにやったことで……』
「無理無理無理無理。
無理があるって」
「な……」
マコトは続けた。
「こっから俺の推測なんだけどさ。
多分だけど、ヴァルガの能力とかが欲しいんだろ?
……悪いんだけど、俺お前らの国とは組まねえから」
ガルドの顔が歪む。
『……なん、だと!
こちらは貴様を正勇者として迎えるつもりだったんだぞ!』
「そもそもこの国の人間じゃねえから。
知らねえし」
ニヤニヤする ルシファー
「…ヤバ…マコトおもろ」
『き、貴様……!』
「バイバイ、おじいちゃん」
マコトがそっと指を動かす。
細胞破壊が魔導モニターに走り、
モニターはバチバチと火花を散らして崩れ落ちた。
アーサーはしばらく沈黙した後、
突然大笑いした。
「はーっはっはっはー!
面白い! なかなか良かったぞ……
だが、お前を逃がすわけにもいかなくなった」
マコトは立ち上がる。
「……じゃあ捕まえてみなよ。
レジデューストレージ! 足元の土、ごっそり収納!」
地面が一気に消え、
魔法陣ごと巨大な穴が開いた。
蒼紋騎士団が悲鳴を上げて次々と落下する。
「ルシファー! 転移魔法!」
「オッケー! “移”!」
黒薔薇の翼の三人が光に包まれ――
消えた。
穴の底に団員たちが激突する中、
アーサーとメルセデスだけは浮遊魔法で空中に留まっていた。アーサーは口元を歪める。
「……ふははははははは!
全く面白い奴らだ」
その瞳には、
獲物を逃した悔しさよりも――
興味と期待が宿っていた。
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