第71話《魔王の血脈、覚醒》
ボス部屋に満ちる冷気が震えた。
キングリッチが杖を構え、魔力を溜める。
「第八王子……舐めるなよ……!」
ルシファーは無言で構えを取る。
その足元に白い魔力が渦を巻き、床石がひび割れた。
「いくぞ……!」
キングリッチが詠唱を開始する。
「――デス・レイ!」
紫黒の死の光線が一直線に放たれ、
空気を焼き裂きながらルシファーへ迫る。
だがルシファーは微動だにせず。
「…除」
ルシファーがつぶやくだけで、
死の光線は霧のように消えた。
「なっ……馬鹿な!?」
キングリッチはすぐに次の魔法を重ねる。
「ソウル・バーストー!!
魂よ爆ぜろぉ!!」
床から無数の亡霊が噴き上がり、
ルシファーを包囲して一斉に襲いかかる。
ルシファーは静かに目を閉じた。
「滅」
その一言で、
亡霊たちは悲鳴を上げながら霧散した。
「ば……馬鹿な…!」
キングリッチの魔力が揺らぐ。
恐怖が骨の奥まで染み込んでいく。
「次は僕の番だね」
ルシファーの足元から白い魔力が爆発した。
風圧だけでキングリッチのローブが裂ける。
「波」
ルシファーが掌を突き出すと、
空間そのものが歪み、
白い衝撃波が一直線に走った。
キングリッチは咄嗟に防御魔法を展開する。
「アンデッド・ウォール!!」
無数の骸骨が盾となって立ち塞がる。
だが――
「砕」
衝撃波が骸骨の壁を粉砕し、
キングリッチの胸を直撃した。
「ぐあああああああ!!」
壁に叩きつけられ、
キングリッチの身体が砕けそうな音を立てる。
それでも立ち上がる。
「……まだだ……!
王子を倒せば……私は……!」
ルシファーは静かに首を振った。
「素晴らしいね…君は。
でも――」
魔力がさらに膨れ上がる。
白い羽根のような魔力が背中に広がった。
「終わりにしよう」
「くっ……来い!!」
ルシファーは一瞬で間合いを詰めた。
「掌」
掌底がキングリッチの胸に触れた瞬間、
巨大な白い衝撃が炸裂し、
キングリッチの身体が宙を舞う。
壁に叩きつけられ、
そのまま崩れ落ちた。
「……見事……で……す……王子……」
ルシファーは息を整え、
小さく呟く。
「……父上……僕は……」
――魔国アビス=ノワール
魔王城深淵の魔力が渦巻く玉座の間。
黒と紫の炎が揺らめき、空気そのものが震えている。
白いローブを纏った魔王――
ゼリオ・アビスロードが、
遠くの戦いを見つめながら微笑んだ。
「……ルシファー……
男の顔になったね……」
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