第64話《超呪空間、そして狂戦士降臨》
―チョモアーケディア・中央広場
巨大魔導モニターは真っ暗。
ダンジョン崩落の衝撃で、映像は完全に途切れていた。
「おい!いいとこじゃないか!!」
「早く映せよ!!」
「メメ!ボス部屋映せって!!」
「一番いいとこなんだぞ!!」
メメは半泣きで叫ぶ。
『すいません!すいません!
ですが復旧のメドが……』
「ざけんじゃね〜ぞ!!」
観客席は怒号と混乱に包まれていた。
――ダンジョンオーソリティ本部
マードックは机を叩きつける。
「ボス部屋はどうなっているんだ!
裏扉はまだ開かないのか!!」
職員は青ざめた顔で答える。
「す、すいません……
呪いのような術式でして……
解読が全く……」
「ええい!
国の宝レオンまでボス部屋に入ったのだぞ!
何かあったら責任問題だ!!」
緊張が走る中、
誰も“中の惨状”を知る者はいなかった。
―― ボス部屋内部
マコトは目を凝らした。
「……真っ暗だ……」
カリナも周囲を探る。
「何も見えない。
ルシファー、何がある?」
だが返事がない。
「ルシファー?」
沈黙の後、ルナの声が震えた。
『……ここは……超呪空間。
さっきの黒髪……タケシが作った“呪いの世界”よ』
マコトは息を呑む。
「ルシファーは?」
『多分気を失ってる。
ここに入った人は全員、同じ呪いが仕込まれてる……
恐らく“一人を除いて”。』
空間がゆっくりと白く染まっていく。
視界が戻ると――
地面には倒れた冒険者たちが散乱していた。
蒼紋騎士団。
他パーティ。
レオン。
そして――マリオ。
奥には、黒いゴーレムが立っていた。
――マリオと黒ゴーレム
マリオがゆっくりと起き上がる。
「ふぅ〜……
何とか全員誘い込んだな……
あとは“薔薇”を探すか……
なんか消えた気もしたが……」
黒ゴーレムが低く唸る。
「……全員……くれるのか?」
「ああ。一人と俺を除いてな。
ちょっと待ってろ……すぐ終わる」
黒ゴーレムは嬉しそうに震えた。
「早く……食べたい……」
マリオは倒れた人々を確認し始める。
マコトは考えをめぐらせた。
「ルナ、ここから出たらどうなる?」
『気を失うわ。
マリオとゴーレムには“耐呪”が付与されてる』
カリナが拳を握る。
「私が一気に出て、気を失う前に斬るってのは?」
『……無理……』
カリナは舌打ちした。
「だめか……
マコト、もうヴァルガ出して斬っちまえよ!
……なんて、だめだよな」
ルナが叫ぶ。
『……それだわ!!
ヴァルガなら“気を失う呪い”より上位の呪い――
**“180秒しか活動できない呪い”**がある!!』
カリナは笑った。
「よし!いけ!マコト!!」
――狂戦士ヴァルガ
降臨マコトは左拳を突き出し、右手を添えた。狂戦士の指輪が黒く脈動する。
「――
ヴァルガ・ブラッドレイジ召喚!!」
指輪から黒い闇が噴き出し、
赤黒い炎が渦を巻き、
天井まで届く火柱が上がる。
黒い羽根が舞い、
マコトの全身を覆い尽くす。
筋肉が膨張し、
瞳が赤く輝き、
双剣が禍々しい形へと変質する。漆黒の戦士――狂戦士ヴァルガ。
その姿が、ついに降臨した




