第51話 残滓再構築Ⅱ
ギルド併設のラボは、天井の高い巨大な空間だった。
魔導灯が白く光り、中央には石造りの台座。
その上で――
ゴーレムロードがガクガクと震えていた。
「……お、お願いします……出してください……お願いします……」
その巨体が怯えている姿は、むしろ哀れに見えるほどだった。
マコトは眉を寄せる。
「……なんか、ひどいことしたような気がしてきました……」
ルナが冷静に言う。
『いや、だいぶひどいでしょ。
自分がされたらゾッとしない?』
「……ですね」
カリナは腕を組み、ゴーレムロードを見上げた。
「ストレージにバラバラ死体なんか置きたくねぇから、
こいつの腹の中で元に戻せ」
「はい。……そういえば、スキル進化してました」
マコトはステータスを開き、進化したスキルを確認する。
◆ 進化スキル残滓再構築Ⅱ(レジデューリビルドⅡ)
破損した物質の残滓情報から再構成する
物質の修復(中)
生物の修復(中)
ルナが補足する。
『死体も“物質”だから問題ないわ』
マードックが驚いたように声を上げた。
「そ、そんなこともできるんですか……!」
マコトは頷き、両手をかざす。
「ではやります。
残滓再構築!」
ゴーレムロードの腹部が淡く光り、
内部でオークキングの肉体が再構築されていく。
ゴーレムロードは震えながら叫んだ。
「うわぁぁァァァ……!」
やがて光が収まり、マコトは息をついた。
「……修復完了。いけたと思います!」
カリナが顎をしゃくる。
「じゃあ取り出せ」
「残滓保管!
オークキング収納!」
ゴーレムロードは腹を押さえ、涙目で叫んだ。
「……ああ! お腹の苦しさがなくなった!!」
カリナは笑って肩を叩く。
「よかったな、でっかいの」
「……ありがとうございます……ありがとうございます……!」
ゴーレムロードは土下座でもしそうな勢いで感謝を述べた。
マードックは深く頭を下げる。
「本当にありがとうございます……
しかし、初めて見るスキルです……すごい……」
カリナは鋭い目で睨む。
「他言は無用だ。
絶対に誰にも言うなよ」
「は、はい! 心得ております!」
マードックは慌てて鞄を差し出した。
中には金貨がぎっしり詰まっている。
「それと……2億ガロですが、こちらに」
カリナがマコトを見る。
「マコト、収納して」
「はい。
レジデューストレージ、鞄収納」
マコトは表示を確認する。
「金額は合ってるか?」
「はい。2億ガロと表示されてます」
カリナは満足げに頷いた。
◆ 【チョモアーケディア】
魔導モニターには蒼紋騎士団の姿が映っていた。
『すごいです蒼紋騎士団!
あっという間に第3階層クリアです!』
観客たちがどよめく。
「あいつらすげぇな!」
「アルヴァリアのエリート兵士らしいぜ」
「アルヴァリアって勇者召喚の国だろ」
「メンバーの勇者2人が特にヤバいらしいぞ」
黒薔薇の翼と蒼紋騎士団――
二つの勢力が、ついに同じ舞台へと近づいていた。




