第47話 グロ
第3階層ボス部屋の前。
巨大な石扉からは、低く唸るような魔力の振動が漏れ出していた。
カリナは大剣を肩に担ぎ、マコトを見下ろす。
「私はどうしたらいい?」
マコトは深呼吸し、真剣な目で言った。
「一緒に入って見ててください!」
カリナはニヤリと笑う。
「やるんだな、“スゴイ事”」
「はい!」
二人は並んで扉を押し開けた。
◆ ボス部屋
中は広大な玉座の間だった。
天井は高く、壁には古代文字が刻まれ、
中央には――緑色の巨体。
身長20メートルはあるオークキング。
その体には、
おびただしい量の首飾り、ブレスレット、指輪が光り輝いていた。
オークキングは玉座にふんぞり返り、
喉の奥で笑った。
「ぐふふ……来たまえ雑魚ども……
我はオークキング!
オークメイジの最上位種!!
すなわち選ばれし存在! 賢人!!」
カリナは舌打ちする。
「……なんかムカつくな」
オークキングはさらに続ける。
「恐れおののいたか……
我が身につけている宝石が2000!
一つ一つが“絶対防御結界”!!
すなわち貴様は我に2000回攻撃せねばならぬ……
ひははははは!!
うん……わかる……絶望したであろう……
逃げろ……逃げてもよいぞ」
カリナは大剣を構えた。
「マコト、斬っていいか?」
マコト
「ダメです。
すぐに片付けますから……」
全能の指輪からルナの声
『まさか……マコト……それは……』
マコトは両手を広げた。
「残滓保管!
ゴーレムロードをコイツの腹に戻せ!!」
オークキング
「へ?……あれ……腹が……
痛い! 痛い!! ギャァァァ!!!」
◆ 地獄絵図
オークキングの腹が一気に膨れ上がり
――ドゴォォォォン!!!腹部が爆発。
内臓が四方八方に飛び散り、
血と肉片が雨のように降り注ぐ。
その中から、
はらわたまみれのゴーレムロードが現れた。
カリナの顔に内臓がビチャビチャと降りかかる。
カリナ
「くっくっく……
確かにスゲェな」
ルナ
『グロすぎるって……』
上半身だけになったオークキングが、
のたうち回りながら絶叫していた。
◆ 【チョモアーケディア】
中央広場は
――地獄だった。
「おえええええええ!!」
「あああああああああああ!!」
「きも!! 最低!!」
観客のあちこちで吐く音が響く。
冷静沈着で知られる蒼紋騎士団のメルセデスでさえ、
口を押さえてゲーゲー吐いていた。
◆ さらに追撃
マコトは淡々と指示を出す。
「オークキングを収納……
ゴーレムロードの腹に戻せ」
『え…まだやるの?…』
ゴーレムロードの腹が膨れ上がる。
「……や……やめろ!!!」
しかし――爆発はしなかった。
代わりに、
キングゴーレムは腹をさすりながら叫んだ。
「いやァァァァァァァァァ!!
気持ち悪い!!死体が俺の腹に!!ああ………」
そのまま泡を吹いて気絶した。
しばらくすると、
奥の扉が重々しく開いた。――オークキングが絶命したらしい。
身体が光るマコトとカリナ、レベルアップ。
カリナはマコトの肩を抱き、
豪快に笑った。
「あははは!確かスゴイ!
やっぱりマコトは最高だな!!」
マコトは苦笑しながら答える。
「ありがとうございます……」
ルナ
『いやいや……あんた達頭のネジ飛んでんじゃないの……問題になるよコレ……』
黒薔薇の翼の第3階層攻略は、
史上最短記録とともに――
史上最悪のグロ記録としても刻まれることになった。




