第44話 第3層前夜
第2階層出口前
フロアーから降りようとした時、メメが魔導カメラを構えて走ってきた。
「薔薇さん! すごいですね!
超最短レコードです!!」
カリナは胸を張り、どや顔で答える。
「まあな! 最強だからな!」
「第3層、このまま行くんですか?」
カリナはあくびをしながら手を振った。
「いや……なんかダリィ……
酒飲みてぇから今日は行かねぇ」
メメは一瞬固まったあと、乾いた笑いを漏らした。
「はははは……なるほど……
視聴率がすごいことになってますよ……
次回はいつですか?」
カリナは親指を立てた。
「明日だな!
みんな刮目しとけ!
うちの黒がスゲェことすんぞ!」
マコト
「はぁ?! 何言ってんすか!!」
メメはすかさずカメラに向き直る。
「明日は黒さんが“とんでもない事”を起こします!
皆さん、LIVE中継をお楽しみに!!」
マコト
「いやいやいやいや!!」
◆ 【チョモアーケディア】中央広場
夜の広場は酒と肉の匂いで満ちていた。
カリナは豪快に肉を頬張り、ジョッキを煽る。
「いや〜美味ぇな酒が!!」
マコトは隣でため息をついた。
巨大魔導モニターでは、
《黒薔薇の翼》特集が延々と流れている。
たった二人のパーティ。
一人ずつ最短レコードを叩き出す謎の匿名チーム。
画面には大きく文字が踊っていた。
《明日! 黒が何かを起こす》
マコトは頭を抱えた。
「なんすかコレ!!
めっちゃ注目されてますよ! カリナさん!!」
カリナは酔いで顔を赤くしながら、マコトの肩を叩く。
「ビビってんのか〜マコトちゃ〜ん?
大丈夫だよ〜ウィ〜」
「カリナさんのせいですよ〜!!」
カリナはジョッキを掲げた。
「心配すんなマコちゃん!
あしたはリミッターカットだ!
何してもいいぞ!!」
「……何しても、ですか?」
「ああ!
女に二言はない!
存分にやりたまえ!!」
マコトは遠い目をした。
(……明日、絶対なんか起きるやつだ……いいかなんでもやるぞもう)




