第4話 ダンジョンの扉の向こうへ
朝。
死霧の森を、俺とカリナさんは並んで歩いていた。
カリナさんは本当に強い。
道すがら現れる魔物を、まるで散歩のついでみたいに斬り伏せていく。
聞けばAランク冒険者だそうだし……そりゃ強いよな
昨夜、俺のステータスを見たカリナさんはこう言った。
「……ヤバ! 弱! レベル0って…歩くだけで死ぬじゃん!最弱! 最悪! マジゴミ!」
「……もうやめて……泣きますよ……」
「安心しろマコト。私が守ってやるから」
その言葉だけは、妙に頼もしかった。
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森の奥へ進むと、急に視界が開けた。
霧が薄く、光が差し込む場所。
『……ここだ……』
今までで一番はっきりと、声が聞こえた。
「カリナさん、声がはっきり聞こえます」
「私は何度も来てるけど、特に何もないんだよね」
石畳が敷かれた古い道を進む。
その時――
『……とまれ……』
「カリナさん! 止まれって言ってます!」
俺が叫んだ瞬間、足元の床が抜けた。
「うわっ!」
落下する俺を、カリナさんが抱きかかえたまま飛び降り、
竪穴の底に見事な着地を決める。
「……あ、ありがとうございます……」
「……なにここ」
カリナさんが魔法で光を灯すと、そこは石造りの広い空間だった。
ダンジョンだ。
『……ここだ……』
暗闇の奥から、また声が響く。
「カリナさん、こっちみたいです……なんかヤバそうです……出口探しましょう」
「行こう。なんか大物の匂いがする」
「……行くんですね……泣」
進んでいくと、突き当たりに巨大な扉が現れた。
『……ここだ……』
「カリナさん、ここですね……ヤバいのが僕にもわかります。やめましょう!」
「……マコト……マジでヤバいぞ……」
「ですよね! じゃあ引き返しましょう!」
「ヤバいくらい大物だ!」
カリナさんは――扉を開けた。
「……カリナさん……泣」
俺の叫びは、虚しくダンジョンに吸い込まれていった。
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