第32話 蒼紋騎士団、マルクトへ降り立つ影
マルクト廃屋前、消えかけの青白い光、ヴァルガの黒い羽が散らばっている
空を見上げる スカルナーの前に
空から二つの影が高速で降下してきた。
蒼紋騎士団――アーサー団長とメルセデス副官だ。
アーサーは地面に着地すると、懐かしげに声をかけた。
「誰かと思ったら……スカルナーじゃないか!」
スカルナーは肩をすくめる。
「アーサー、久しぶりだな」
メルセデスも丁寧に頭を下げた。
「お久しぶりです、スカルナーさん」
アーサーはスカルナーを見据えるとすぐに本題へ入る。
「スカルナー、聞きたいことが山ほどある。
ここに――カリナがいなかったか?」
「ああ…ついさっきまでいた」
「忽然と消えたように見えたが?」
「……その通りだ」
アーサーの目が鋭くなる。
「二人いたな。一人はカリナ。
もう一人は誰だ?」
「……少年だ。マコトと名乗っていた」
アーサーは息を呑んだ。
「……少年……その少年の“二つ名”は確認したか?」
「いや。ギルドで鑑定はしてない。二つ名があったのか?」
アーサーは深刻な声で告げた。
「ドラゴンスレイヤー……そして――ゴッドスレイヤーだ」
スカルナーは目を見開いた。
「……すごいな。確かに強かったが……」
アーサーはさらに問いを重ねる。
「漆黒の戦士について知りたい。ここに現れただろう」
「現れた。下弦の信徒の女…教祖かな?その女を切って……消えた」
「その切られた死体はどうした? 見当たらないが」
「忽然と消えた」
アーサーはため息をつく。
「……消えてばっかりだな。
メルセデス、どうだ?」
メルセデスは黒い羽根を差し出した。
「ネトラ遺跡と同じものです。ヴァルガの羽です」
アーサーは羽根を見つめ、静かに頷いた。
「……スカルナー、ありがとう。
団員から調査が入ると思う。協力してくれ」
「わかった……」
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他の団員が到着しスカルナーから事情聴取している、アーサーとメルセデスは廃屋から少し離れた場所に移動した。
「団長……何かわかったんですか?」
アーサーは空を見上げ、ゆっくりと答えた。
「ネトラ遺跡で分かったこと……
伝説竜を、ヴァルガと“誰か”が二人で殺した」
メルセデスは息を呑む。
アーサーは続けた。
「今回分かったこと……
ドラゴンスレイヤーが二人いた。
一人はカリナ。
もう一人は――マコトという少年」
メルセデスの表情が固まる。
「つまり――
マコトという少年が、狂戦士ヴァルガと同一人物だ」
「……え……」
アーサーは決意を込めて言い放った。
「ネトラ遺跡ではヴァルガになったマコトとカリナが伝説竜を殺した、今回はヴァルガになったマコトが下弦の信徒の女を殺した」
「…全ての辻褄が合います」
「 メルセデス――
マコトと名乗る少年を探すんだ」
蒼紋騎士団の影が、マルクトの空へと伸びていった。
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