第30話 友達
「……ここが、ストレージの中……?」
マコトの視界に広がったのは、白い光だけで構成された静謐な空間だった。
床も壁も天井も存在せず、ただ柔らかい光が満ちている。
その中に、等間隔で“物”が並んでいた。
伝説竜ノクス=ドラグレア。
宝石箱。
ケルン。
そして――ルシファー。
「……え……なんか並んでる……どうすれば……」
その時、全能の指輪から声が響いた、ルナの声。
『ルシファーを調べると言いなさい』
「わかった、ルナ。
゛ルシファーを調べる゛」
光が揺れ、ルシファーの身体が淡く輝いた。
「……うわっ! あれ……マコトくん!」
ルシファーが目を開き、弱々しく笑った。
「大丈夫、ルシファー?」
「……うん。大丈夫。すごく痛かったけど……今は痛くない。
あれ……僕、めっちゃ血だらけだね」
「むちゃくちゃ刺されたからね……」
「……よく生きてるね、僕……確か 串刺し だったよね」
その時、指輪の声が響く。
『マコト、残滓再構築 (リデジューリビルド)よ』
マコトはルシファーの前に膝をつき、真剣な目で見つめた。
「……ルシファーくん、よく聞いて。
正直、君は死にかけなんだ」
「……だろうね」
「でも、助けられるかもしれない。
今から俺のスキルを使う」
ルシファーは少しだけ目を伏せた。
「……待って」
「……何?」
「……僕、魔族なんだ。 …ごめん 嘘ついてた…
君たちの敵だよ。
…助けちゃダメだよ…僕なんか」
マコトは迷わず答えた。
「…関係無い」
「君たちの… いや マコトくんの…狂戦士の情報が欲しくて 嗅ぎ回ってたんだ…嘘をついて」
「…そうなんだ…だから何?」
「…何って…裏切り じゃないか…」
「裏切り?何が……大丈夫。
そもそも俺、ここの…この世界人間じゃないから」
「……え?」
「転生してここに来た。
以上。
魔族だから何?って感じ。
そもそも敵じゃないから…裏切られて なんかいない…俺は――俺の友達を救う。それだけかな……ルシファー 君は俺の友達じゃないの?」
「…僕は…君の…うん!友達だ!」
「…じゃあ 全く 裏切ってないよ、俺は友達を助ける」
ルシファーはしばらく黙り、そして吹き出した。
「……ははは……面白いね、マコトは」
マコトは微笑み、手をかざした。
「じゃあやるよ。
残滓再構築」
ルシファーの傷口が光に包まれ、
裂けた肉がゆっくりと閉じていく。
光はやがて弱まり、消えた。
指輪の声が続く。
『……マコト。ルシファーを串刺しにした私が言うのもなんだけど……
一回じゃ無理みたいね。重症だから。
でも、何回かやれば必ず治るわ』
マコトは胸をなでおろした。
「……ルシファー。
一回じゃダメみたいだから……また来る」
ルシファーは穏やかに微笑んだ。
「……ありがとう、マコトくん。
また待ってるよ」
「ああ。必ず助けるから」
マコトの身体が光に包まれ、
ストレージの外へと戻された。
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外では、カリナが心配そうに駆け寄ってきた。
「マコト! 大丈夫か!」
マコトは深く息を吸い、力強く頷いた。
「はい。
ルシファーくんは……いずれ助けられそうです」
カリナの表情が安堵に緩んだ。
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