第29話 残滓再構築Ⅰ
ヴァルガの黒炎がゆっくりと収束し、
その巨体は指輪へと吸い込まれるように消えていった。
『マコト! 貴様は最高だ!
神すら余裕とはな……
ドラゴンスレイヤーにしてゴッドスレイヤー……
くくく……次の再臨が楽しみだ……』
最後の声だけが残響のように響き、
マコトの身体は元の姿へと戻った。
カリナが駆け寄り、肩を叩く。
「よし! やったな、マコト!」
その時、ルナの身体がゆっくりと光を帯び、
砂のように崩れながら消えていった。
残った光の粒がひとつ、マコトの手のひらへ落ちる。
それは――黄色い指輪だった。
マコトはそれを握りしめた瞬間、
膝が崩れ、身体が強い光に包まれた。
レベルアップの感覚が全身を駆け抜ける。
「……ルシファーが……ルシファーくんが……」
胸が締めつけられる。
あの瞬間の光景が脳裏に焼き付いて離れない。
その時、狂戦士の指輪の奥からヴァルガの声が響いた。
『マコトよ……ステータスを確認しろ……何とかなるかも知れない…我は眠るぞ……』
「ヴァルガ…え? ステータス……?」
マコトは震える手でブレスレットを確認した。
「……レベル……87!?
めっちゃ上がってる……
え……新スキル……?」
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◆ 新スキル
残滓再構築Ⅰ(リデジューリビルドⅠ)
● 破損した物質の残滓情報から再構成する
● 物質の修復(小)
● 生物の修復(小)
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マコトは息を呑んだ。
「カリナさん、これって……」
カリナは覗き込み真剣な顔で頷く。
「……ルシファーは刺し傷だ。
ワンチャン治せるんじゃねえか?」
「でも……どうやって?
ルシファーくんはストレージの中だし……
その時、別の声が響いた。
『入れるよ……』
マコトは驚いて周囲を見回す。
「え!? 誰? ヴァルガ?」
カリナが眉をひそめる。
「……どうしたマコト。誰と喋ってるんだ……?」
『……違う……ルナ…ここ……手のひら……』
マコトは黄色い指輪を見つめた。
『……はめて』
言われるまま、左手の薬指に指輪をはめる。
すると、柔らかな女性の声が響いた。
『ルナよ、あなたに倒された、あなたが戦ったルナは死んだ、私はルナの本質だけの存在、私は
“全能の指輪”よ』
「全能の……指輪……?」
『森羅万象、何でもわかるわ。
まずはルシファーだっけ?
魔族の子供。彼を救いたいんでしょ』
マコトは強く頷いた。
「そう! 救いたい!」
『なら、ストレージに入りなさい。
そして 新スキル 残滓再構築 を使えばいい。
大丈夫、出られるから』
「……わかった!」
『素直でよろしい』
マコトは深呼吸し、拳を握った。
「――
残滓収納!
俺を収納!!」
黒い霧がマコトの身体を包み込み、
その姿はゆっくりと霧の中へ消えていった。
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