第28話 神殺し
赤と黒の火柱が天へと伸び、
その中心から、漆黒の戦士――ヴァルガ・ブラッドレイジが姿を現した。
大地が震え、空気が焼ける。
その存在だけで、周囲の魔力がざわめく。
『……おお、マコト。
精進したな。前回とは桁違いに“自力”が上がっておる』
その声は、地の底から響くようだった。
ルナは目を細め、忌々しげに呟く。
「……お前は……ヴァルガ。
死んだはずだけど?」
ヴァルガはゆっくりと首を傾け、
黒い炎をまとった瞳でルナを見据えた。
『……女神――いや、邪神ルナ。久しいの。
どっこい生きておるわ。くくく……面白い』
「ヴァルガ……こいつだけは絶対に倒したい」
『任せておけ。 マコト
……くくく、久々に血が騒ぐわ』
ルナは冷たく笑った。
「まあいいわ。
お前とて、私に触れることすらできない」
彼女が手をかざすと、
掌に月光が集まり、空気が震えた。
ヴァルガは静かに呟く。
『……狂剣』
黒い霧が渦を巻き、
漆黒の大剣がヴァルガの手に現れた。
次の瞬間、
ルナの月光が大地を爆ぜさせた。
轟音。閃光。
討伐隊が吹き飛ばされそうになる。
カリナが叫ぶ。
「マコト!!」
しかし、爆煙の中でヴァルガは微動だにせず、
大剣を盾のように構え、無傷で立っていた。
『……笑止。
弱くなったな、ルナよ』
ルナの表情が初めて揺らぐ。
「……なに?」
『信仰を失った神の果てか。
……哀れよのう』
「バカにするな!
私に攻撃できないことは変わらない!!」
「そうかな」
ルナが眉をひそめる。
ヴァルガは笑った。
『……マコト。まだバラすな。
いくぞ、ルナ!!』
「ルナ様と言いなさい無礼者」
ヴァルガは大剣を構え、
地面を砕く勢いで跳躍した。
『――狂斬!!』
黒い軌跡が空を裂く。
ルナは余裕の笑みを浮かべ、
目を閉じて腕を組んだ。
「だから無駄無駄…」
だが――
剣が頭上に迫った刹那、
ルナの表情が凍りついた。
熱い。
なぜ?
痛い……?
目を開けると、
ヴァルガの大剣が自分の頭に突き刺さっていた。
「……嫌……攻撃が通る……まさか……加護……」
その言葉が終わる前に、
ルナの身体は真っ二つに裂け、
光の粒となって消えていった。
ヴァルガは大剣を肩に担ぎ、
満足げに笑った。
『……これで“神殺し(ゴッドスレイヤー)”だな。
またタイトルが増えたぞ、マコト』
黒い炎が静かに揺れた。
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