第26話 女神の加護
青白い炎の結界が揺らぎ、弱まっていく。
その中で、ルシファーが最初に身体を起こした。
「よし……動ける」
続いてカリナも腕に力を込め、ゆっくりと立ち上がる。
「いい作戦だった、マコト」
マコトも立ち上がろうとした――その瞬間、
まばゆい光が彼の全身を包み込んだ。
(……あれ? この感覚……前にも……)
視界が白く染まり、気づけばマコトは光の円盤の上に立っていた。
空も地面もない、ただ光だけの空間。
「まさかあなたがねぇ……」
背後から聞こえた声に振り向くと、
そこには白銀の髪を揺らす女神が立っていた。
「あ……あの時の女神……ト、トリニティ?」
女神トリニティは微笑み、軽く肩をすくめた。
「そうよ。もう一ヶ月ぶりかしら。
まさかこんなに早く会うことになるとは思わなかったわ…しかもヴァルガを操りドラゴンスレイヤーだなんて…」
マコトは戸惑いながら尋ねる。
「……え、俺…また転生したの?」
「違うわよ。端的に言うわね」
トリニティの声が少しだけ低くなる。
「これからあなたは――女神ルナと戦うことになる」
「…女神…ルナ…?」
「だけど、人間に神は殺せない。
神は物質じゃないから、あなたのスキルも通らない」
「……え〜っと……
さっき下弦の信徒を倒した後に、
今度は女神…ルナと俺が戦う……ってこと?」
「そう。
そしてこのまま戦えば――あなたは確実に死ぬ」
「いやだ!」
即答だった。
トリニティはその反応に満足したように頷く。
「だから加護を与えます」
光がマコトの身体に流れ込み、
皮膚の奥まで熱が満ちていく。
「うわ!」
「これで攻撃が通るわ」
マコトは息を整えながら尋ねた。
「でも……どうして助けてくれるの?」
トリニティは指を二本立てた。
「理由は二つ。
一つ、あなたが召喚するヴァルガが強いから。
二つ、あなたならルナを倒せる可能性があるから」
マコトは黙り込む。
トリニティは続けた。
「あなたとヴァルガの相性は最高。
歴代最強のヴァルガよ。
これならルナを倒せるかもしれない」
「……自信ないな……」
「無くてもやるの。
やらなきゃあなた死ぬわよ」
トリニティは軽く手を振った。
「じゃ、戻すから。上手くやってね」
「うわっ!」
光が弾け、マコトの身体は現実へと引き戻された。
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青白い炎の結界はほとんど消えかけていた。
カリナが駆け寄る。
「どうした、マコト!」
(戻された……ってことは、次の展開は――)
ルシファーが空を指差した。
「マコトくん、あれ!」
マコトが見上げると、
黒いドレスをまとった女神が、
夜空を裂くようにゆっくりと降りてきていた。
女神ルナ――
下弦の信徒が崇める“月の女神”。
その瞳は、氷のように冷たかった。
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