第25話 ケルン
青白い炎の結界がじりじりと音を立て、討伐隊を閉じ込めていた。
空気そのものが重く、身体の芯から力が抜け落ちていく。
ルシファーは地面に手をつきながら叫んだ。
動けない……!
スカルナーも同じく膝をつき、歯を食いしばる。
「……くそ! 魔法担当! 魔法は出せるか!」
魔法使いの一人が震える声で答えた。
「……無理です! 魔力が……吸われていきます!」
その時、空が黒い雲に覆われ、渦を巻くように裂けた。
そこから、巨大な影がゆっくりと降りてくる。
筋肉が膨れ上がり、皮膚は黒く変色し、
肩には人間の身長ほどもある巨大な鎌。
その顔は、もはや人間のものではなかった。
ケルンだった。
「はっはっははははは〜〜!!
ルナ様に“進化”させてもらったわ!!」
カリナは目を見開き、声を震わせる。
「……て、テメェは……殺したはず……」
ケルンはカリナを見つけると、狂気に満ちた笑みを浮かべた。
「あ〜いたいた! お前だよ、お前!
痛かったぞ〜〜痛かったぞ〜〜……
まずはお前を“カット”しないとなぁ〜〜」
カリナは必死に身体を動かそうとするが、
膝が地面に縫い付けられたように動かない。
「……くそ! 動けん!!
……マコト!!」
「……はい!」
「お前のゴミスキルで何とかしろ!!」
「いや……なんとかって……!」
ケルンが鎌を振り上げた。
青白い光が刃に集まり、死の気配が空気を満たす。
カリナが叫ぶ。
「マコト!!」
マコトは反射的に手を突き出した。
「ええい!!
レジデューストレージ!!あいつ収納!」
黒い霧がマコトの手から噴き出し、
ケルンの身体を包み込む。
「なっ……!? やめ――」
霧が収束し、ケルンの姿は跡形もなく消えた。
カリナは呆然とし、そして笑った。
「……おお!! やったなマコト!!」
だが、結界の力は依然として強く、
誰も立ち上がれない。
マコトは息を荒げながら、次の手を打つ。
「よし……!
残滓保管!!あいつらの足元の地面収納!」
黒い霧が地面を飲み込み、
下弦の信徒たちが立っていた“地面”が丸ごと消えた。
「……うわぁぁぁぁ!!」
信徒たちは悲鳴を上げ、
突然現れた巨大な穴へと落ちていく。
マコトは叫んだ。
「外周の土!!
同じ場所に戻れ!!」
霧が逆流し、穴は元通りに埋まった。
落ちた信徒たちの姿は、もうどこにもない。
青白い炎が揺らぎ、
結界がわずかに弱まった。
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