第22話 上空の魔導士
地面を揺らすような重低音が森に響き渡った。
土煙の中から現れた巨体――それは、岩と土を寄せ固めたような魔造兵。
カリナが目を見開く。
「…ゴーレムだと!
高ランク魔獣も操るのかよ、下弦の信徒!」
マコトは即座に残滓共鳴を展開する。
「残滓共鳴!!」
視界に色の帯が広がる。
しかし――
「……ない!
下弦の信徒の色は見当たらない!」
ゴーレムは咆哮し、腕を振り回す。
冒険者たちが攻撃を仕掛けるが、
ゴーレムの周囲には透明な結界が張られており、
刃も魔法も弾かれてしまう。
逆に、跳ね返された衝撃で冒険者たちが吹き飛ばされていく。
スカルナーが怒号を飛ばす。
「全員、自己防御に徹しろ!!」
その時、ルシファーが叫んだ。
「マコトくん!!」
振り向くと、ルシファーが空を指差している。
マコトは見上げた。
木々の隙間から、かすかに――
薄紫の残滓色が揺らめいていた。
「……あんなに上……」
カリナが駆け寄る。
「マコト、わかったか!」
「カリナさん!
かなり上空に魔導士です!」
カリナは舌打ちした。
「…くそ!届くわけねえ!」
その時、ルシファーがカリナの腕を掴んだ。
「カリナさん!来て!」
ルシファーの背中から、
白い羽根の翼が広がった。
カリナは驚きながらも笑う。
「…なんだかわからんが、乗った!!」
ルシファーはカリナの手を握り、
一気に空へと跳び上がった。
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冷たい風が二人の体を切り裂くように吹き抜ける。
高度はどんどん上がり、森が豆粒のように小さくなる。
上空で、フードをかぶった魔導士――ケルンがほくそ笑んでいた。
「…くくくく……ここまでは届くまい……」
だが、下から妙な気配が迫る。
「ん?」
次の瞬間、ルシファーがカリナを――
投げた。
カリナ
「死ねぇぇぇぇ!!」
ケルン
「!?」
カリナの大剣が赤い軌跡を描く。
「逆消裟斬!!」
勢いそのまま、
下段から上へ――
斜めに振り上げられた剣閃がケルンを捉えた。
ケルンは防御する暇すらなく、
斜めに二つへと裂かれた。
「……ぐはぁぁぁぁ!!」
その瞬間、地上のゴーレムの防御結界が砕け散る。
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カリナは大の字になって自由落下していく。
「カッカッカ〜〜ざまあみろぉぉ!!私は最強だぁぁぁぁ〜!」
風に叫び声が消えていく。
ルシファーは急降下し、
落ちてくるカリナをしっかり抱きとめた。
そのままふわりと地面へ着地する。
カリナは息を整えながら笑った。
「……お前、やるじゃねえか」
ルシファーは照れたように微笑む。
「カリナさんが重くなかったからですよ」
「誰が重いってぇ!?」
森に、討伐隊の笑いと安堵が広がった。
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