第19話 追加ミッション・残滓共鳴Ⅱ
ギルドの大扉が軋む音を立てて開くと、
中から現れたのは、まるで巨岩のような体格の男だった。
肩幅は扉いっぱい、腕は丸太のように太く、
その存在だけで空気が重くなる。
「私はこのマルクトのギルドマスター、スカルナーだ。
今日は本当にありがとう。改めて礼を言う」
低く響く声は、建物の梁まで震わせるようだった。
カリナは腕を組み、懐かしそうに笑う。
「久しぶりだな、スカルナー」
スカルナーの目がわずかに見開かれた。
「まさか…カリナ-ゴメス隊長だったとは思わなかったよ」
「…もう隊長じゃねえ。一介の冒険者だ」
カリナは肩をすくめるが、
スカルナーはその言葉をどこか寂しそうに聞いていた。
「おかげで被害を最小に食い止められた。
戦闘で疲れただろう。ギルドの二階が宿屋だ、使ってくれ」
「お言葉に甘えさせてもらうぜ」
三人は礼を言い、ギルドの階段を上がっていった。
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木造の部屋は温かいランプの光に照らされ、
窓からは夜風がそっと吹き込んでいた。
戦いの緊張がようやくほどけ、
三人はそれぞれ荷物を下ろして腰を落ち着ける。
ルシファーは窓辺に立ち、夜空を見上げた。
「…僕、ちょっと夜風に当たってくる」
マコトは微笑んで頷く。
「気を付けてね、ルシファー」
ルシファーが部屋を出ていくと、
カリナがベッドに腰を下ろしながら言った。
「…マコト、また指輪が喋ったのか」
マコトは指輪を見つめる。
「…はい。リデジューリンクの使い方を教えてもらいました。
いつのまにかスキルが進化していたようです」
カリナは鼻で笑う。
「親切な狂戦士だな…スキル見てみよう」
マコトはステータスを開く。
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進化スキル : 残滓共鳴Ⅱ(リデジューリンクⅡ)
●残滓情動波読取
●物質の残滓を識別し、索敵を行える。
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カリナは腕を組んで唸った。
「これで魔導士を特定できたのか」
「はい。意識したものと同じ存在を特定できるようです」
「…こいつも使い方次第で大きな武器になるな」
マコトは静かに頷いた。
指輪の奥で、ヴァルガが笑っている気がした。
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ギルドの外は静かで、
夜風が木々を揺らし、遠くで虫の声が響いていた。
ルシファーは月を見上げ、
胸の奥にある重たい感情を吐き出すように呟く。
「…父上」
その瞬間、空気が揺れ、
闇の中からゼリオの分身体が姿を現した。
「ルシファー…もう接触できたんだね。さすがだよ」
ルシファーは少しだけ笑う。
「…父上には見えていたんでしょう。
言う通り動いただけだよ」
ゼリオは優しく頷く。
「…それで、どうだったんだい?」
ルシファーは真剣な表情で報告を始めた。
「マコトが…ヴァルガ・ブラッドレイジの指輪の持ち主だね。
召喚までは見てないけど…
指輪と会話してた。マコトにしか聞こえないみたい。
リデジュー系のスキルがあるみたいで…
共鳴、吸収、収納…かなり強いスキル」
ゼリオは満足そうに目を細める。
「…うんうん」
「カリナはすご腕だね。S級以上だ。
隊長とも呼ばれていたし…アルヴァリアの上級兵士だったと思う」
「…よくやった。帰ってこい…と言いたいところだが…
何か言いたいことがあるんだろう?」
ルシファーは拳を握りしめた。
「…うん。
魔物を操って道具にしてる連中がいるんだ。
許せなくて…」
ゼリオの表情がわずかに険しくなる。
「…私も同感だ。
追加ミッションだ。
あの二人とともに――
下弦の信徒を壊滅させてくれ」
ルシファーの瞳が強く光った。
「…ありがとう、父上」
夜風が吹き抜け、
二人の影が静かに揺れた。




