第16話 町に現れた異変と、ルシファーの影
三人が歩き続けて半日。
ようやく石畳が見え、木造の門が姿を現した。
交易の町 マルクト
「おお……町だ……!」
マコトが感動している横で、
ルシファーは目を輝かせて跳ねるように歩く。
「すごい! 人がいっぱいだね!
屋台もあるし、匂いもいいし……あ、あれ食べたい!」
「お前、はしゃぎすぎだ」
カリナが呆れながらも笑う。
三人は門をくぐり、賑わう市場へ入った。
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町は活気に満ちていた。
商人の声、子どもの笑い声、焼き肉の香り。
だが――
その中に、妙な“ざわつき”が混じっていた。
マコトは眉をひそめる。
「なんか……変じゃないですか?」
カリナも周囲を見渡し、表情を引き締めた。
「……ああ。嫌な気配がする」
その時。
「――きゃあああああ!!」
悲鳴が響いた。
人々が一斉に逃げ出し、道が割れる。
現れたのは――
巨大なオーク。
体は大きく、
片腕には鉄の棍棒を握っている。
「なんですか!」
マコトが叫ぶ。
「オークだ……!」
カリナが剣を抜く。
ルシファーは小さく息を呑んだ。
(……え……父上が?……いや、違う……これは……)
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オークが棍棒を振り上げ、
逃げ遅れた子どもに迫る。
「マコト!!」
カリナはマコトの襟を掴み――
そのまま投げた。
「うわわわ!!」
マコトは空中で回転し、
オークと子どもの前に落下。
地を蹴り、子どもを抱えて転がる。
直後、棍棒が地面を砕き、石片が飛び散った。
「やっば!」
カリナが叫ぶ。
「マコト倒せ! だが気をつけろ、あいつ……普通じゃねぇ!」
ルシファーが前に出ようとする。
「僕も――」
「ルシファーは下がってろ!!」
カリナの怒声に、
ルシファーは唇を噛んで後退した。
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マコトは剣を構え、叫ぶ。
「――ブラッククロー!!」
黒い刃がオークの胸を切り裂く。
だが――
「……効いてない!?」
オークの体を、薄い結界が覆っていた。
「効かない……!?」
マコトが青ざめる。
カリナは歯を食いしばった。
「オークに結界は張れない……!
魔導士がいる!」
オークが棍棒を振り上げ、
今度はマコトに狙いを定める。
「マコト!!」
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その瞬間――
ルシファーの身体が勝手に動いた。
「マコトくん!!」
ルシファーはマコトの前に飛び出し、
手の甲が黒く輝く。
オークの棍棒が振り下ろされ――
ガキィィィン!!
衝撃音とともに、
オークの攻撃が“弾かれた”。
カリナが目を見開く。
「……あいつ……」
ルシファーは手の甲を押さえ、膝をつく。
「ルシファー!? 大丈夫!?」
「……だい……じょう……」
その時――
ルシファーの瞳が一瞬だけ、
“魔王のそれ” に変わった。
黒く、深く、底知れない光。
マコトは気づかない。
だがカリナは――
その一瞬を見逃さなかった。
(……やっぱり、こいつ……ただの坊ちゃんじゃねぇな




