第133話《前時代 文明の遺産》
スカイに案内され、
マコトとルシファーは王城奥へと進んだ。
魔導士棟は外観からして巨大で、
ルシファーは思わず感嘆の声を漏らす。
「随分でかい施設ですね」
スカイが扉に手を当てると、幾何学模様が淡く光り、重厚な扉が静かに開いた。
内部は広大なホールになっており、
魔導士たちが魔力測定器や魔導陣の前で忙しなく動いている。
その数は百名を超え、
魔導士棟全体が巨大な研究機関として機能していることが一目で分かった。
スカイは誇らしげに説明した。
「魔導棟では百名以上の上級魔導士が、日々王国のために研究を続けています」
マコトは圧倒され、
ルシファーは興味深げに周囲を見渡す。
「一体何の研究をしているんですか?」
「前時代文明の遺跡やそれを応用した魔導兵器が主です。
国力の乏しい我が国は、
魔導兵器で他国と渡り合うしかありませんので」
スカイの言葉には、魔導士としての誇りと、
国を守るための切実さが滲んでいた。
ルシファーは本題を促す。
「それで僕に用って何なんですか?」
スカイは頷き、奥の区画へと案内した。
そこには、人が十人ほど乗れる巨大な円形台座が六台、整然と並んでいた。
縁には幾何学模様の装飾が施され、
青白い光が脈動している。
マコトは思わず息を呑む。
「……これは?」
「魔導転移装置です」
スカイは静かに答えた。
「最近発掘された前時代文明の機器です。
これが実用化されれば、
大陸から大陸まで一瞬で転移できます」
ルシファーは驚きながらも、
すぐに核心に触れた。
「それで僕の力が必要なんですね」
「はい。
調査の結果、闇と光の融合魔導を流し込まなければ動かないことが分かりました。
しかし、どこに、どのように魔力を流せばいいのかが分からない。
闇と光の属性を持つルシファー様なら、
何か手がかりが得られるかと」
ルシファーは少し考え、
そして首を横に振った。
「……これは僕よりもマコトだね」
スカイは驚いたようにマコトを見る。
「……マコト様が?」
マコトは台座に近づき、軽く手を触れた。
「やってみるだけやってみようか。
ルナ、サポートよろしく」
『分かったわ』
マコトは深く息を吸い、
スキルを発動する。
「リデジューリンク」
瞬間、六台の魔導転移装置が一斉に光を放った。
幾何学模様が浮かび上がり、
装置全体が脈動し始める。
スカイは震えた声で呟いた。
「……動いた……?」
ルシファーも驚愕する。
「マコト……これ、前時代文明の装置だよ……
普通は動かないはずなのに……」
マコトは残滓の流れを読み取るように目を閉じた。
「……闇と光の魔力が……
装置の内部で融合を求めてる……
残滓が……案内してくれてる……」
装置の光はさらに強くなり、
魔導転移装置は起動した。




