第131話《帝国の怒号と王国の歓声》
● バルハザード帝国・玉座の間
魔導灯がすべて消え、
王城はまるで廃墟のように暗闇に沈んでいた。
壁に刻まれた魔導紋も黒く死に、
玉座の間には冷たい風が吹き抜ける。
バルハザード8世は玉座の前で怒り狂っていた。
「一体どこの国がこんなことを……!」
筆頭魔導士 ゾルゲド が静かに進み出る。
「私からご説明を」
「おお……ゾルゲド……いたのか。申してみよ」
ゾルゲドは杖を掲げ、
空中に魔法映像を展開した。
「これは国営メディアが捉えた“軍港襲撃”映像です」
映像は北部軍港。
施設は炎に包まれ、黒煙が空へ昇っている。
レポーターの声が震えていた。
「……軍港が今!何者かによって攻撃されています!
……人影です!」
カメラがズームすると――
黒靄をまとった シータ が映った。
レポーター
「黒ずくめの女性でしょうか!?
魔法のようなもので施設を攻撃しています!
……え!?こちらを見ています……
マズイ!!……こちらに向かってきます……!」
次の瞬間、
シータがレポーターの目の前に降り立った。
レポーター
「うわぁぁ!!……殺さないで!!」
シータは呆れたように言う。
「……殺すわけないでしょ。
おじさん、何やってんの?危ないよここ。
早く避難して」
「え!?……は、はい!
あの……あなたたちは?」
シータは胸を張る。
「はぁ?私たち?
黒薔薇の翼の攻撃部隊・デビルダークネスファントム よ。
いいから早く行きなさい!」
シータがカメラに手をかざし、
魔力でカメラを壊す。
映像はそこで途切れた。
バルハザード8世は震えながら呟いた。
「……こいつらが……
我が国をこんな目に……」
ゾルゲドは静かに続ける。
「……はい。
黒薔薇の翼 というパーティのようです。
先日ボルケーノアイランドで赤竜とフレアドラゴンを倒したとか……
別大陸から来たとの情報もあります……」
バルハザード8世は玉座を叩きつけた。
「……たかだか冒険者パーティーにやられたのか我々は……
許さんぞ!!絶対に許さんぞ!!」
怒号が暗闇に響き渡った。
●ウィンザール港
一方その頃――
セレスティア姫を乗せた船が、
静かな港へ入港した。
海風が心地よく、
港の魔導灯は柔らかい光を放っている。
船着場には
マコト、カリナ、ルシファーが待っていた。
セレスティアは駆け寄る。
「皆さんありがとうございます!
バルハザードを無力化して下さったんですよね!」
マコトは引きつった笑顔で固まる。
「……え?なぜそれを……」
そこへブラッドが走ってくる。
「……マコト殿!
今ウィンザールはその事で持ちきりですよ!」
ブラッドは魔導モニタを見せた。
映っていたのは――
シータのあの映像。
『はぁ?私たち?黒薔薇の翼の攻撃部隊!
デビルダークネスファントムよ……
いいから早く行きなさい!』
マコトは頭を抱えた。
「……パーティー名言っちゃってますね……」
ルシファーは遠い目をする。
「……バルハザードの人たち、恨んでるよな……」
カリナは酒を飲みながら笑う。
「どこに行っても追われる身だな〜マコト」
ルナが冷静に言う。
『とにかく素顔はさらさない事ね。
ダンジョンの時みたいに仮面を付けましょう』
●ウィンザール王城へ
屋根のない馬車に乗り、
城門をくぐった瞬間――
ものすごい大歓声が巻き起こった。
“救世主!黒薔薇の翼”
と書かれた巨大な横断幕。
「救世主様!!」
「世界を救ってくれた!!」
「バルハザードの脅威から救ってくれてありがとう!!」
民衆が押し寄せ、
花を投げ、
旗を振り、
涙を流しながら手を振っている。
●ウィンザール国王、登場
城前広場に立つウィンザール国王。
豪奢な赤いマントを翻し、
満面の笑みで手を広げた。
「おお!黒薔薇の翼の方々!
見事な活躍だ!周辺諸国も喜んでおるぞ!
我が国を救い、
バルハザードを無力化に追い込むとは!」
カリナは勢いよく立ち上がった。
「はい!
セレスティア様指示のもと、
我々黒薔薇の翼が悪の権化バルハザードを退治して参りました!」
マコト(……カ、カリナさん……?)
ウィンザール王は感動して言う。
「素晴らしい!あなたがリーダーか?」
カリナは胸を張る。
「はい!リーダーかつ紅一点、
戦場に咲く一輪の可憐な美しい花、
薔薇でございます」
ルシファー(……えっえ〜!可憐って……)
ウィンザール王は感極まった。
「素晴らしい!素晴らしいぞ!
正に平和の女神!褒美を持ってまいれ!!」
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