第129話《魔導高炉・黒薔薇の翼到着》
夜空を切り裂きながら、
ルシファーは水着+ゴーグルという軽装のまま高速飛行していた。
転移の残光が青白い軌跡を描き、
背中にはマコト、横にはカリナが並走する。
海風は熱を帯び、
遠くの地平線には赤い炎が揺れていた。
突然、バルハザード帝国の街灯が
“バチッ”と音を立てて一斉に消えた。
マコトは青ざめる。
「……街の魔灯が消えた……これって……」
ルナの声が冷静に返る。
『おそらく グラディウス が魔導高炉を破壊したようね』
カリナは酒瓶を持ったまま、
遠くの黒い街並みを見下ろした。
「そろそろだな……」
魔導高炉へ近づくにつれ、
地上の魔導兵器が次々と“腐って”いくのが見えた。
高射砲の砲身が黒く変色し、
鉄が溶けるように崩れ落ちる。
ルシファー
「高射砲が……腐ってます……」
カリナは酒を飲みながら呟く。
「鉄が腐るって……あるんかそんなこと……」
ルナが解析結果を伝える。
『……今判明したわ。
グラディウスは ディケイウィルス を魔導高炉に侵入させて、
バルハザード中の魔導機器を腐らせたみたい……』
マコトは眉をひそめる。
「……この国の人たち、困ってるんじゃ……」
ルシファーは前方を指差した。
「いました!グラディウスです!」
巨大な煙突の縁に、
黒靄をまとった影が立っていた。
マコトは手を振る。
「お〜い!グラディウスくん!」
グラディウスは満面の笑みで振り返る。
「マコト様!!」
ルシファーが高度を落とし、
マコトを魔導高炉の縁へ降ろした。
マコトは苦笑しながら声をかける。
「グ……グラディウスくん……
なんか色々やったみたいね……」
次の瞬間――
デビルダークネスファントムの5人が跪いた。
「お褒めに預かり大変嬉しいです!!」
マコトは慌てる。
「……褒めたかな俺……
うん……うん……そうだよね……
方向性は間違ってないよね……」
グラディウスはキラキラした目で言う。
「大変光栄に存じます!!
次はいかがいたしましょう!!インフラと武器を破壊し、
バルハザードを完全に無力化しました!!やはり本命の バルハザード城 を落としますか!!?」
マコトは引きつった笑顔で答えた。
「はは……
デビルダークネスファントム収納」
光が走り、
5人はストレージへ吸い込まれていった。
ルナが静かに言う。
『この国……
石器時代に戻ったわね……』
カリナは肩をすくめる。
「……まあでも……
ならず者国家なんだろ?バルハザード」
ルナ
『強引な侵略であらゆる国と揉めてるからね……』
ルシファーはマコトの肩に手を置いた。
「……マコト……
僕たちはいいことをしたんだよ」
マコトはゆっくり頷いた。
「……うん……
そうだよねルシファー……
うん、きっとそうに違いない…うんうん」
夜風が吹き、
魔導高炉の赤い火が静かに消えていった。
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