第128話《魔導高炉陥落》
― バルハザード帝国・魔導高炉
帝国最大の魔導供給施設。
巨大な煙突が赤黒い火を噴き上げ、
地面は魔力の振動で常に震えている。
その周囲には
戦車・対空砲・魔導障壁・飛行艇隊――
帝国が誇る“鉄壁の防御体制”が敷かれていた。
だが――
その鉄壁を、黒い影が易々と突破していく。
―デビル・ダークネス・ファントム編隊
夜空を裂く黒靄。
グラディウス、クラリス、シータ、キキ、メイの5名が
魔導高炉へ向かって滑空していた。
黒い羽根が月光を遮り、
編隊の影が地面に巨大な怪物のように映る。
帝国側の警報が鳴り響く
「侵入者!侵入者!!
2時の方向より未確認編隊アリ!!
……先程軍港を破壊した魔族航空隊と思われます!!」
「最終防衛ライン突破されました!!」
「迎撃せよ!迎撃せよ!!」
魔導速射砲が一斉に火を噴く。
赤い魔力弾が空を埋め尽くす。
だが――
ニヤリと笑うグラディウス
「笑止…」
クラリスは片手で弾き、
キキは魔導弾をすり抜け、
メイは笑いながら回避し、
シータは黒靄を展開した。
シータが両手を広げる。
「――マジックガード、展開」
黒靄が爆発的に広がり、
魔導高炉周辺を覆い尽くした。
次の瞬間――
「……ダメです!!魔導系が動きません!!」
「魔導砲が沈黙した!!」
「魔導障壁が消えた!!」
「くそ!空軍はどうした!!」
「……全滅です!!
怪しい黒い玉に包まれて身動き取れません!!」
「何だと!!」
帝国の誇る魔導防衛網が、
一瞬で無力化された。
―魔導高炉の巨大煙突。
赤い火を背に、黒い影が立つ。
グラディウス。
「確かに、この方が早いな」
クラリスが説明する。
「はい。この魔導高炉から
帝国中の魔導機器に魔導が供給されています」
シータが黒靄をまといながら言う。
「ここにディケイウィルスを入れれば……」
キキが続ける。
「戦車、戦艦から魔導モニタまで、
バルハザード中の魔導系機器が
全部ガラクタになります」
グラディウスは笑った。
「……くくく……
マコト様に褒められるな……メイ!行け!」
メイは嬉しそうに叫ぶ。
「食べる〜」
そして――
魔導高炉の中心へ落ちていった。
メイが魔導高炉内部へ落ちた瞬間、
黒靄が爆発的に広がった。
魔導炉の魔力回路が腐食し、
赤い火が黒く変色する。
その影響は帝国全土へ波及した。
帝都の戦車部隊戦車の魔導エンジンが黒煙を上げて停止。
車体が腐ったように軋み、
魔導砲塔が垂れ下がる。
「動かない!!」
「魔導炉が腐ってる!!」
沿岸の戦艦隊戦艦の魔導炉が沈黙し、
船体が黒く変色していく。
「魔導炉が死んだ!!」
「推進が止まる!!」
巨大な戦艦が次々に漂流し始めた。
帝国通信塔魔導通信塔が火花を散らし、
魔導モニタが一斉にブラックアウト。
「通信が……全部落ちた!!」
「帝国中の魔導ネットワークが死んでる!!」
空軍基地魔導飛行艇が空中で停止し、
黒靄に包まれてゆっくり着地。
「飛行艇が落ちる!!」
「魔導翼が腐ってる!!」
帝都の街灯・魔導設備街灯が次々に消え、
魔導エレベーターが停止し、
魔導水道が黒煙を上げて止まる。
帝都は一瞬で暗闇に沈んだ。
魔導文明の心臓――
魔導高炉が腐ったことで、
バルハザード帝国は
魔導技術を完全に失った。
兵士たちは叫び、
指揮官は膝をつき、
街の人々は暗闇の中で混乱する。
帝国は、
一夜にして“魔導国家”ではなくなった。
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