第126話《DDF編隊・バルハザード北部軍港襲来》
黒い靄をまとった デビルダークネスファントム 編隊が、月を隠すように滑空していた。
海風が黒い羽根を揺らし、
編隊の影が海面に伸びる。
クラリスが前方を指差す。
「見えました!
バルハザード北部軍港です」
遠くに巨大な軍港の灯りが揺れ、
戦艦の影が並んでいる。
グラディウスは黒いゴーグルを下げ、
キキへ声をかけた。
「キキ、感知状況は?」
キキは魔力感知を広げ、
海上の魔力反応を読み取る。
「感知しました。
戦艦4、護衛艦8、巡洋艦14、駆逐艦22」
クラリスが息を呑む。
「……結構いますね」
グラディウスは笑いながら言う。
「駆逐艦から落とす。
クラリス、メイは突っ込め」
クラリスは眉をひそめた。
「お言葉ですがグラディウス様……」
グラディウス
「おっと……そうだったな」
シータが静かに言う。
「マコト様の命令は……」
キキ「人間を殺すな……です」
メイ「………(食べたいけど我慢)」
軍港にサイレンが響き渡り、
巨大なライトが編隊を照らす。
「敵襲!! 敵襲!!」
「空から来るぞ!!」
駆逐艦の甲板から魔導速射砲が連射される。
ババババババッ!!
クラリスは片手で弾いた。
「軽いわね……」
グラディウスはシータの頭に手を置いた。
「ふん!!」
大量の魔力がシータへ流れ込み、
シータの身体に黒靄が立ち上がる。
シータの瞳が赤く光る。
グラディウスは息を深く吐いた。
「ふぅ〜……
シータ、軍港全域にマジックガード展開」
シータは両手を広げた。
「マジックガード! 全開!!」
黒靄が軍港全体を覆い、
魔導兵器の魔力が一瞬で沈黙した。
戦艦の魔導炉が停止し、
護衛艦の砲塔が垂れ下がり、
巡洋艦の魔導レーダーが黒煙を上げる。
「魔導炉が止まった!!」
「武器が動かない!!」
「何もできない!!」
バルハザード海軍は完全にパニックに陥った。
クラリスは拡声魔法で声を響かせた。
「バルハザードの皆様。
只今より貴国の軍艦を全滅させます。
速やかに避難して下さい。
魔導系の動力、武器、全て無効化しました。
どう転んでも我々に勝てません」
静まり返った軍港に、
船から飛び込む音が無数に響く。
ドボン! ドボン! ドボン!
暗闇の海に人影が散っていく。
グラディウスは肩を回しながら言う。
「……もういいか。
一応海軍みたいだからな……溺れ死なないだろ……」
そして指示を飛ばす。
「クラリス、キキは魔導武器をメインに破壊しろ。
メイは海中より船底をかじってこい。
俺とシータは海軍施設を無効化してくる」
クラリス「了解です」
キキ「任せて」
メイ「……おいしそう」
クラリスの黒炎が砲塔を焼き、
キキの魔導矢がレーダー塔を貫き、
メイが海中から船底をかじり、
シータの黒靄が施設の魔導炉を停止させる。
戦艦は次々に火を吹き、
軍港は赤い炎に包まれた。
しかし――
人間は一人も死んでいない。
海に逃げた兵士たちは、
黒靄のバリアで安全に浮かび上がっていた。
軍港だけが、
静かに、そして完全に壊滅していった。
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