第112話《バルカス山・空軍迎撃陣》
飛行艇内の魔導モニタが赤く点滅した。
操舵手が叫ぶ。
「何者かが接近します!
消えたり現れたり……転移を繰り返しながら飛行しているもよう!」
ジャンコは椅子からゆっくり立ち上がり、
薄く笑った。
「……やはり来たな……奴だ……魔族のガキ」
ペリーがモニタを見ながら報告する。
「思ったより早かったですね……
ですが我々はもう予定地点に到着しました」
ジャンコは肩を回しながら言う。
「空中戦は任せたぞ……」
ペリーは胸を張る。
「はい。本国より精鋭が待機しております。
……ジャンコ様の出る幕が無くなったら申し訳ございません」
ジャンコは鼻で笑った。
「ふん……好きにしろ」
――バルカス山山頂 ―
飛行艇はバルカス山山頂付近に到達した。
そこには、山肌をえぐるようにして開いた
巨大な縦穴が口を開けていた。
火山帯特有の熱気が吹き上がり、
空気が揺らめいている。
飛行艇から降り立つジャンコ。
その横には、縛られ憔悴しきったリリアーナ。
目の前には――
土魔導士衆12名が整列していた。
その中央に立つのは、
土魔導士衆の長 ギワラ。
ジャンコは縦穴を見下ろしながら言う。
「さすが土魔導士衆の ギワラ だな。
短時間によく空けてくれた」
ギワラは土色のローブを揺らし、
恭しく頭を下げた。
「……はは……我ら一族にとっては造作も無い事……
ささ、こちらへ」
土魔導士衆がリリアーナを受け取る。
リリアーナは震えながら声を漏らした。
「……うう……どこへ……連れていくの……?」
ジャンコは無視し、
ギワラに案内されて縦穴脇の階段へ向かう。
階段は地下へ続いており、
火山の熱気が吹き上がるたびに
壁の魔導灯が揺れた。
少し降りると――
背後で土魔導士衆が術を使い、
来た道を土壁で塞ぎ始めた。
ゴゴゴゴゴ……
ジャンコが後ろを振り返る
「さすが土魔導士衆だな…リリアーナを奪いにくる奴らは縦穴から来るしか無くなる」
リリアーナは怯えた声を上げる。
「え……私を奪いに……? 誰が……?」
ジャンコは笑った。
「奪いに……いや、助けに来てるんだよ。
お前が殺そうとした姉君――
セレスティア の仲間がな」
リリアーナは目を見開いた。
「姉さんが……?
私を……助けに……?」
ジャンコは肩をすくめる。
「くっくっく……最高の舞台だ。
まずは――バルハザード空軍の実力を味わうがいい」
バルカス山山頂。
黒炎牙の罠は、完全に整っていた。
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