第111話《赤竜の山へ向かう前哨基地》
ストレージ空間に足を踏み入れた瞬間、
セレスティアは思わず息を呑んだ。
「……すごい! 何ですかこの空間は!!」
そこは“巨大な異空間”だった。
ブラッドも圧倒されていた。
「……圧巻ですな……ここが黒薔薇の翼の基地ですか……」
ストレージ内には、
戦艦、軍艦、そして――巨大な竜が眠っていた。セレスティアは口元を押さえた。
「え! 軍艦!モンスター!
……え? これ……竜? ヤバ!!」
ルシファーは胸を張る。
「すごいでしょ。マコトのストレージ」
ブラッドは呆然と見渡す。
「この広さは……街がすっぽり入るんじゃないですか……」
マコトは照れながら手を振った。
「いや〜……まあまあ。
とりあえず座って下さい、作戦会議しますよ」
黒薔薇の翼とセレスティア、ブラッドが席につく。
魔導モニタが起動し、
空中に地図と映像が浮かび上がった。
カリナが最初に切り込む。
「最初に確認だが……
リリアーナは姫を殺そうとしたんだろ?
助けたいのか?」
セレスティアは少しだけ視線を落とし、
しかし迷いなく答えた。
「……私にとっては妹なんです……」
その声は震えていたが、強かった。
ブラッドは静かに頷いた。
「姫……そのお気持ち、わかります」
カリナ「そうか…よく分かったよ」
ルシファーも優しく微笑む。
「家族は……大事ですよね」
―――――
ルナが淡々と会議を進める。
『まずはリリアーナから。
これはセレスティア様に借りた“鷹”の映像』
映像には、
海賊船に挟まれたクリムゾンマジェスティ号が映る。
近接映像に切り替わると――
船員たちが次々と殺されていた。
ブラッドは拳を握りしめる。
「……くそ!!」
セレスティアは唇を噛み、
震える手で胸元を押さえた。
「……リリアーナ……」
ルナは次の映像を表示する。
『次はリリアーナの船“クリムゾンマジェスティ”の映像』
映像には、
泣き叫ぶリリアーナが飛行艇に吸い上げられる姿が映った。
カリナが眉をひそめる。
「飛行艇?
黒炎牙のエンブレムが見えるな」
『リリアーナは飛行艇で連れ去られたわ。
飛行艇は今、バルカス山山頂にいるわ』
セレスティアは息を呑む。
「山頂……?
そんな危険な場所に……」
カリナが思い出したように言う。
「……バルカス山って赤竜のか?」
ルナは静かに答える。
『そうよ。
まさに赤竜の巣の近くよ』
ストレージ空間に緊張が走る。
赤竜――
火山帯を縄張りとする災厄級魔獣。
国家級戦力でも討伐は困難。
ブラッドは顔色を変えた。
「赤竜の巣……
そんな場所に人質を……?」
ルナは淡々と続ける。
『黒炎牙は、リリアーナを“人質”としてではなく、
黒薔薇の翼を誘い込むための“餌”として利用しているわ』
セレスティアは震えた。
「そんな……
妹を……餌に……?」
マコトは地図を見つめながら言った。
「つまり……罠ってことですね」
ルナが頷く。
『ええ。
我々を山頂に誘い込み、
赤竜の縄張りで迎え撃つつもりよ』
カリナは剣を肩に担ぎ、笑った。
「上等じゃん。そもそも火竜やりに来たんだ!
赤竜だろうが黒炎牙だろうが、まとめてぶっ倒す」
ルシファーも笑う。「上等に賛成〜」
ブラッドは真剣な表情でセレスティアを見る。
「姫……必ず妹君を救いましょう」
セレスティアは深く頷いた。
「……お願いします。
黒薔薇の翼……どうかリリアーナを……」
マコトは立ち上がり、
ストレージ空間の巨大戦艦を見上げた。
「じゃあ――山頂攻略作戦、始めようか」
黒薔薇の翼は、
赤竜の巣へ向かう決戦へと動き出した。
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