第107話《バルハザードの影》
戦艦がストレージに収納された瞬間、
黒炎牙の乗組員たちは逃げ遅れ、次々と海へ落ちていった。
カリナは呆然と戦艦を見上げる。
「デカ!! 戦艦デカ!!」
マコトも苦笑する。
「デカいっすね……よく入ったなストレージ」
ルナが冷静に言う。
『戦艦だからね……って、この戦艦……まあ後で話すわ。
ルシファー、いったん戻るわよ』
ルシファーは軽く手を振る。
「わかりました! 移!」
転移の光が走り、ルシファーはヴィラへ戻った。
海に浮かぶ黒炎牙の兵たちは、
消えたり現れたりしながら飛ぶルシファーを見て震えた。
ジャンコは怒りで顔を歪める。
「……なんなのだあの生意気なガキは!
黒薔薇の翼は……なんなのだ!
戦艦だぞ!? 消えるって……キャノン弾もだ!
聞いた事無いぞ、戦艦消すなんて!!」
ペリーが恐る恐る声をかける。
「……ジャンコ様……」
「なんだ!」
「リリアーナを拿捕しました」
ジャンコは自分の頬をパンパン叩き、
無理やり冷静さを取り戻した。
「……切り替えるぞ……
セレスティアは後回しだ」
ルシファーがヴィラに降り立つと、
魔導界壁はすでに消えていた。
ブラッドの前には、
黒炎牙の魔導士5人が拘束されて並んでいた。
ルシファーは笑顔で手を振る。
「作戦うまくいきましたよ〜」
ブラッドも胸を張る。
「こっちも片付きました」
マコトとカリナがストレージから出てくる。
セレスティアは胸を押さえ、安堵の表情を浮かべた。
「みなさん、ご無事で……」
ルナが静かに告げる。
『気になる点があるわ。あの戦艦だけど……』
セレスティアはすぐに察した。
「バルハザード帝国 のじゃない?」
『その通りよ』
セレスティアは拘束された魔導士の術具を見つめる。
「この魔導士の術具……
バルハザードの物と酷似している」
ブラッドは険しい表情で言った。
「隣国のバルハザードは、古より我らの敵対国……
黒炎牙は……バルハザード帝国の私兵かもしれません」
黒薔薇の翼は互いに顔を見合わせた。
敵は海賊ではない。
国家だ。
そして――
その国家は、王女セレスティアの命を狙っている。
【作者からのお願い】いつも読んでいただきありがとうございます!ここまで続けられたのは、読んでくださる皆様のおかげです。もし「続きが気になる!」「面白い!」と少しでも思っていただけたら、ページの一番下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価していただけると、執筆の大きな励みになります!ほんの数秒で済みますので、ぜひ応援をよろしくお願いいたします!




