第104話《黒炎牙・魔導包囲網》
夜明け前。
ヴォルカニック・パラダイス・ロイヤルヴィラの周囲に、
黒炎牙の魔導部隊が静かに展開していた。
魔導兵たちは黒い軍服を纏い、
ヴィラを囲むように円陣を組む。
魔導灯の赤い光が、夜の砂浜を不気味に照らした。
「将軍……いえ、カシラ。準備完了しました」
大型軍艦の甲板で、ジャンコはゆっくりと立ち上がる。
「よし……魔導界壁発動しろ」
魔導兵たちが一斉に詠唱を開始する。
空気が震え、地面が低く唸り始めた。
次の瞬間――ヴィラ全体を囲むように、
巨大な半透明の黒い壁が出現した。
魔導界壁外界との魔力・物理干渉を完全遮断する、
黒炎牙の戦争級魔導防壁。
ヴィラの周囲は、
まるで異世界に切り離されたように静まり返った。
ペリーが報告する。
「キャノン砲、いつでも発射できます」
ジャンコは顎を撫でながら尋ねる。
「別動隊はどうだ」
「既にリリアーナの船――
クリムゾン・マジェスティ号 を取り囲んでおります」
ジャンコは薄く笑った。
「同時展開せよ。
キャノン発射!
リリアーナ船を急襲!」
魔導兵たちが一斉に動き、
巨大な魔導兵器へ魔力を流し込む。
甲板中央に鎮座するのは
――魔導キャノン砲
高位魔力を圧縮し、
街一つを消し飛ばすほどの威力を持つ黒炎牙の切り札。
ペリーが叫ぶ。
「ヘルフレア、発射準備完了!!」
ジャンコが腕を振り下ろす。
「撃て!!」
轟音が海を揺らした。
赤黒い魔力の塊が砲口から放たれ、
空へと打ち上がる。
リリアーナの船では同時に黒炎牙の別動隊が急襲。
甲板で悲鳴が上がり、兵士たちが次々に倒れていく。
ヘルフレア弾は夜空を裂き、
ヴィラ上空へ到達すると――突然、進路を変えた。
直角に折れ曲がり、
セレスティアと黒薔薇の翼が滞在するスイートへ向かって落下していく。
ジャンコは甲板からその光景を見下ろし、
口元を歪めた。
「終わりだ、セレスティア……
そして――マコト」
赤黒い光が、
ヴィラへ向かって落ちていった。
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