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地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第四章

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第九十五話 竜の素材 


 謁見室から出るところで、ヘルグマンドと会った。


 難しい顔をしている。


「ヘルグマンド、傷は癒えたの?」


「これはコットン様、ご心配をおかけしました、我は傷ひとつ付いておりません」


「そうなんだ、じゃあ配下の治癒力を高めてたんだね」


 ヘルグマンドは、竜族全体の能力や治癒力を高めるバフを持っている。


 竜族は個体でも強いけど、そこにヘルグマンドのバフが加わることで、とんでもない強さになっていた。


「そうです、しかし、鍛え直さねばなりませんな、醜態をお見せしました」


「さすがに1000年以上前の技術を持った軍だからね、仕方が無いと思うよ」


 でも納得いかないのか、ヘルグマンドは首を振る。


「いえ、我らドラゴンの牙や鱗の素材よりも、あの金色の方が優れているなどと許されません」


「うーん、加工次第じゃないかな、主力のドラゴニュートは亡くなった竜の素材を使っているんでしょ?」


「そうです、強き竜は強き素材を残します、あの金色に後れを取ったということならば、それは死した竜の鍛え方が足らぬということ」


 スパルタだなぁ。


 まぁ、それでこその竜なのかも知れないけど。


「今、わたしのところにいい職人がいるから、少し素材をちょうだい? 劇的な革命が起きるかもよ?」


「わかりました、配下のものに運ばせましょう」


 わたしはもちろん、あの金色と竜の素材を合わせてみるつもりだった。






「王様が、弟子を取らないかって」


 鍛冶職人は、困ったような顔をした。


 そうだよね、嫌だよね……。


 わたしも、弟子をとれって言われたら嫌かも知れない。


「私は、人にものを教えるのが上手くありません」


 わかるんだけど……。


「でも、学びたいっていう若い子がいたら、教えてくれる?」


「できる範囲で良いならやりますが……」


「よし、じゃあ弟子はふたりで良いかな」


「それが限界です」


 鍛冶職人は、心底それが限界だと目で訴えかけてきていた。


 わかりました、そこで食い止めます。


「それとは別件で、竜の素材なんだけど、こういうのがあるんだ」


 屈強なドラゴニュートの人に素材を運んでもらう。


「我が軍で、今用意できる一番の素材です」


 鍛冶職人が作業の手を止めて、素材を見る。


「これは、エンシェントドラゴンの鱗と牙、骨、それに、仙外境にいたとされる五首の竜の骨ですね」


「ご明察です、さすがですな」


 渋い声のドラゴニュートさんが感心している。


 鍛冶職人は、わたしを見て頷いた。


「これとあの金色の金属を組み合わせられるか、と言いたいんですね」


「察しが良くて助かります」


「少し時間を下さい」


「はい、結果が出たら教えてください」


 さあ、どうなるか、楽しみだった。





 昼過ぎの暇な時間、わたしは街を歩いていた。


 少しずつ良くなっていく街を見るのは楽しい。


 人々にも、笑顔が増えている気がする。


 でも、そこに……黄昏れているココを見つけた。


 顔を赤くしている。


 ダメージ? 叩かれた? 誰に?


 わたしは、駆け寄っていく。


「ココ、どうしたの?」


 うなだれているココに話し掛ける。


 でも、いつもの元気はまるでなかった。


「コットン……」


「もしかして、お父さん?」


「うん……」


 ココの貯金を引き出そうとしていたくらいだから、今度は、直接むしり取ろうとしたんだろう。


 多分、グレイ君も、カーツ君も、家にお金を入れている。


 ギルドに通っている街の子は、大体がそうだろうと考えていた。


「家にお金を入れるのが嫌なの?」


「入れてる、入れてるよ! なのに……全部よこせって……」


 そうか、全部か……。


 冒険のやる気も削がれてしまうだろう。


「帰るところがないなら、ギルドに泊まる?」


「いいの?」


「いいよ、一日銀貨一枚ね」


「銀貨一枚か……」


「ただで泊めてあげたいけど、お金を払っている人がたくさんいるから、贔屓はできないよ」


「でも、銀貨一枚って安いよね」


「激安だよ」


「それか、アイティラさんと同じ部屋にすれば、ただにできるけど……」


「そうなの!?」


 まぁ、それもひとつの選択肢と言うことで。


「あと、お父さんとはグレイ君とかと一緒に話しに行った方がいいよ」


「な、なんでグレイなんだよ」


 照れている。


 まだ夕陽でもないのに、顔が赤かった。


「グレイ君、幼なじみなんでしょ? お父さんのことも知ってると思うし」


「うん……わかった」


「宿代は、本当は前金なんだけど、お金が入ったときで良いよ」


「ありがと、頑張るよ」


「ううん、頑張らなくて良いんだよ」


 そこで、ココはわたしにしがみついて泣いた。


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