↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/96

第九十四話 王様とヘルグマンド


 ヘルグマンドは、古代都市兵と戦った傷を癒していた。


 お城の貴賓室にいるようだ。


 したがって、ヘルグマンドに用がある王様も、まだアンデマンドに居た。


 今日は王様に呼ばれて、城に招かれている。


 あまり呼び出して欲しくはないけど……。


「娘、前線へ行く気はないか?」


「無いですよ」


 王様は憮然とする。


 ハッキリ言わないと、つけ込まれるからね。


「貴様の古代都市兵を遊ばせておく道理がない」


「ミクロリニアが、またいつ攻めてくるかわかりませんから、いい戦力だと思います」


「ミクロリニアごときにぶつけるには惜しいのだ!」


 王様が椅子をドンと叩く。


 テンション高いなぁ。


「と言いますと?」


「見たであろう、竜王軍と五分に渡り合える力じゃぞ!」


 そういうことか。


 でも。その話は前にしたと思うけど……。


「王様は、アイティラさんに欲しいと言わないんですか?」


「それはヤメじゃ、みな止めろという」


「はあ」


「余は暗君ではない、臣下の助言には耳を傾ける」


 なら、わたしに前線に行けなんて言わないで欲しいとは思う。


 暗君じゃないなら、こんな年端のいかない女の子に、戦わせないでしょ。


「わたしが見たところ、古代都市兵の強さは、その装備にあると見ました」


「なんじゃと?」


 王様が、ピクッと反応する。


「あの不思議な黄金の金属です、あれを加工できるようになれば戦力に転化できるかと」


 でも、王様はふんと首を横に振った。


「しかし、できまい? わかっておるのじゃぞ、古代の不思議な金属なぞ、加工できるものがおるまい」


「いえ、今ギルドにいる鍛冶師が加工しています」


「なんじゃと!!」


 今度は身を乗り出してきた。


 余程戦力が欲しいんだろう。


「ただ、その鍛冶師が、もう全てやり尽くしたみたいな状態になってまして、初心者用のナイフを研いで余生を過ごしたいという希望なので……」


「駄目じゃ! ガンガン最高の武具を量産するのじゃ!」


「もうそういうのはいいそうです」


「駄目じゃー! なぜワシの言う通りにならんのじゃー!」


 だだっ子のように、王様がジタバタとする。


 これは育て方が悪かったんじゃないだろうか。


 ちょっと、自分の国の行く末が心配になる。


「陛下、相手は7歳の少女ですので」


「鍛冶師を説得せよ! 最高の武具を作らせるのじゃ!」


「はぁ」


 わたしは、どうしようと思いながらギルドに帰った。






 鍛冶師は、ギルドの片隅で武具の修繕をしている。


 心なしか、楽しそうだ。


「調子はどうですか?」


「すごくいい、こういう仕事がしたかったんだ」


 恍惚としながら、あまり良くない質のロングソードを磨いでいる。


 フナに始まり……いや、もうそれはいい。


「古代都市の不思議な金属はどうですか?」


「なかなかいい素材だ、強い武具が打ちたいなら最適だろう」


「ダマスカスというのは、成功したんですか?」


「ああ、成功した、いくつか試作しているから持っていってくれ」


 え? 成功した?


「す、すごいじゃないですか」


「大したことじゃない。いい物を作るなんて二流のすることだよ」


 なんだか良くわからない境地になっているみたいだけど、朗報だった。


「ちゃんと買い取らせてもらいますよ、ところで王様から、この武具をもっと打って欲しいと言われてるんですが……」


「一般の兵士には扱えない武具だ、量があっても仕方が無いだろう」


 必要レベルが高いのか。


 まぁ、それはそうだよね。


「なるほど、じゃあその試作品を王様に献上してみます」


「ああ、なるべく断ってくれ」


 困った顔で、そう言う。


 はい、なるべく断るようにします……。






「王様、例の武具の試作品をお持ちしました」


「なんと、今さっきの話しではないか、領主よ、目利きができるか?」


「少し拝見します」


 重いので、お城の兵士の人に運んでもらった武具が10個ほど、移動式のカートのようなものに積まれていた。


 領主様は、ひとつひとつ手に取って見ている。


 やはり、自分が剣を使うからか、剣をよく見ていた。


「失礼」


 領主様が剣を振るう。


 すると、黄金のきらきらが舞った。


 なんだこれ。


 そういう特性なのかな。


「おおお、すごいではないか」


 領主様が剣を置く。


「まず、必要レベルが高いと思われます、一般の兵士には扱えないかと」


「それは鍛冶師も言っていました」


「おそらく、魔力の柔軟さが異常によいです、様々なエンチャントを付与できるでしょう」


「おおお、すると、良い武具なのじゃな?」


「良すぎる、というのが私の見解です」


 凄腕の冒険者が装備するなら良いけど、軍隊で採用するような武具ではないということだ。


 でも、王様は違うことを考えている。


「ふむ、すると騎士か、ベテランの猛者達しか使えんか」


「エンチャントで、必要レベルを下げるものがあります、しかし、そこまでして兵士に行き渡らせるのは、少々問題があるかと」


 領主様が、遠巻きに、この武具は駄目だと言っている。


「ふむ、しかし、騎士と猛者だけで、どれくらいの数が必要になる?」


 でも、それは王様には通じていなかった。


「間違いなく、万単位で必要になるかと」


 諦めさせるために、そう言ったんだろう。


 なのに、王様は喜んでいる……。


「それ見ろ! 我が軍の戦力はどれほど上がる!?」


「大げさに聞こえるかも知れませんが、全て必要な武具が揃えば、倍は堅いかと」


「倍!? 倍じゃと!?」


「全て必要な武具が揃えば、ですぞ」


「娘、絶対に説得して参れ!」


 領主様の言葉は、都合の良い部分しか聞こえていない。


「無理ですって、この街には鍛冶職人が少ないんです、冒険者達の武具を修繕する鍛冶師だって居ないのに」


「なんとかせよー!!」


 目を充血させて、王様が叫ぶ。


「話はしてみますが、期待はしないでください」


「鍛冶職人の手配はしてみよう、かかり切りになるのが嫌なら、月に数個でも良い、若い優秀な職人をつけるから、技術を学ばせて欲しいと伝えてくれ」


「それなら良いかも知れません」


 弟子を取るのは良いかも知れない。


 気の長い話になるかも知れないけど。


「月に数個じゃと!? MAXで9個として、一年に108個!? 一万個集めるのに何年じゃ!!」


「いえ、技術を学ばせて、他でも造れるようにするのが肝要かと」


「そうか、そうじゃな、娘よ、弟子を取るように説得せよ!」


「期待しないでくださいね?」


「するわっ!」


 わたしは、謁見室を出てため息をついた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。