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地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第四章

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第九十六話 ティラキラ


「ティラキラ」


「うん?」


 朝の忙しい時間が終わって、一息ついたところ。


 わたしは、シールズに同調していた。


 このパーティーは、ちょっと見てないと危ない。


 アイティラさんが、廃墟の礼拝堂という初心者向けダンジョンで、ティラキラと言って石を指さし、その後自分を指した。


「この石をティラキラって言うの?」


 ココが不思議そうにしている。


 みんな立ち止まって、話しを聞いていた。


 そう、廃墟の礼拝堂には謎の粘土がたくさん出土する。


 魔力を帯びている粘土だけど、特に使い道もないので打ち棄てられていた。


 他のダンジョンでも、割と落ちている粘土だ。


「ティラキラ」


 アイティラさんが手の上に粘土を乗せてそうつぶやくと、粘土が鳥の形になった。


「鳥」


「えっ!?」


 みんな驚いている。


 はー、こんな使い道があったんだ。


 わたしも、初めて知った。


「すごい、なんですかそれ」


「アタシにもできる?」


「できるかな、わからない」


「ティラキラ」


 ココがやってみるけど、反応がなかった。


 アイティラさんだけなのかな?


「なんだろう、魔力かな」


 今度は、カーツ君がやってみる。


「ティラキラ」


「おっ!?」


 粘土がフォークの形になった。


 そのままにしていると、フォークの形で固まる。


「こういうフォークが欲しかったんだ、丁度良かったよ」


「えええっ、ダンジョンに落ちてた粘土だよ?」


「そういう問題じゃないでしょ!」


 チェリーがティラキラすると、名前の通りチェリーが出来上がった。


「す……」


「す?」


「すごい発見だよ! この粘土売れるよ!」


 チェリーさんが興奮している。


 どうなんだろう、使い道あるのかな。


「使い道は、コットンとかに考えてもらおうよ、この秘密を売ればいいんだよ」


 なんか、勝手なこと言ってる……。

 

 いや、見てたけどね。


 思った通りの形になるのなら、冒険でも使えるのかなぁ、粘土だけ持っておいて、必要なときにティラキラするとか?


「違う」


 でも、アーレイが違うと言っていた。


「何が違うんだ? アーレイ」


 グレイ君が優しく聞き直す。


「アイティラがこれを何に使っていたか聞けばいい」


「「それだ!」」


 全員の声が合わさった。


「こ、これ何に使ってたの?」


「これは、アイキラに使う」


「アイキラ?」


「そう、壁とかに使われてる……」


 え……まさか。


「あの、金色の金属?」


「そう」


「あの黄金都市の建物の!?」


「そう、それ」


「あの加工に使うってことか?」


「そうだよ」


「「売れる!」」


 また全員の声がハモっていた。


「持って帰って権利を売ろう!」



 この粘土自体は、名前を付けられることもなく、粘土とだけ呼ばれていた。


 ダンジョンを作ると、たまにこの粘土が湧き出てくることがあって、なんでだかわたしも不思議に思ってはいた。


 まさか、こんなことになるとは……。


 わたしは、パーティーが帰ってくるのを心待ちにしていた。






「買って欲しいんだけど」


 受付で、人垣のバリアを張りながら、チェリーが粘土を見せてきた。


「粘土をですか?」


 わたしは、白々しく聞く。


 なんだか、嘘が上手くなってしまいそうだ。


「見てて、ティラキラ」


 それが、さくらんぼの形になった。


「おおおおっ?」


「すごいですね、ティラキラってなんですか?」


「なんなのかわからないけど、黄金都市の金属を加工するのに使うってアイティラが言ってる」


「ホントですか!」


 ちょっと演技したけれども、驚いて見せた。


 さて、話しはここからだけど……。


「希望額はおいくらですか?」


「すまない、コットン、俺たちでは値段が付けられない、ギルドで適正な値段を付けて欲しい」


「うーん」


 王様、いくらで買ってくれるかな……。


「取りあえず、事情はわかりました。実際に使ってみて、それから値段を付けさせてください」


「高い!?」


 ココがずばり聞いてくる。


 みんな固唾を飲んでいた。


「物自体はありふれた物なので……あくまで、使い方を教えてもらった、そのアイディア料と言うんでしょうか、そういう物をお支払いできると思います」


「今のうちに、粘土集めておいたら高く売れる?」


「いいと思いますよ、加工が上手くいけばですが」


「やろう、粘土集めよう、マジックバックをいっぱい貸して欲しい」


「お願いします、今日の分はちょっとお高めに、銀1グラムと同じ値段で買いましょう」


「本当!?」


 みんな喜んでいる。


 アイティラさんも、なんだか嬉しそうだった。


「同じ銀貨の重さで交換です、今回だけですよ?」


「やったー!」


「いっぱい取ってきたんだ」


 知ってる、見てたから。


 加工を試すのに、いっぱい使うだろうし、使い方のアイディア次第で色々できるから、それくらいの値段にはなるだろう。


 わたしは、その粘土を全部買い取った。


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