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地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第四章

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第八十八話 アイティラ


「火急の用件です、領主様に取り次いでください」


 門番の人も、異常事態をわかっているらしく、わたしを通してくれた。


 最近よく来ているから、顔を覚えられたようだ。


「領主様、黄金都市をコントロールする宝を返してください」


「返す? 誰にだ」


「そんなことを言って、宝を盗む気であろう!」


 王様は、そんなことを言っている。


「この者は、まだ幼子、そのような欲はないかと思っております」


「いくつでも同じだ、人間など欲まみれなのだからな」


 鏡を見た方が良い、とは言わなかった。


「あのピラミッドを見ましたか?」


「あれは、ピラミッドというのか」


「金色の、良い建物じゃな」


「黄金都市の王が蘇りました、都市のコントロールが利かなくなっていて、兵達が宝物を奪いにここへやってきます」


「なんじゃと!」


「幸い、今は外に竜王軍がいます、交戦状態に入ると思われますが、いずれ竜王軍も破れるでしょう」


「なんじゃと!? 古代都市兵とはそれ程のものか!」


 ヘルグマンドが戦ってくれればいいけど、無闇な交戦はしないかも知れない、そうなったら街の中に古代都市兵が雪崩れ込んでくる。


「なんと、それならば、その古代都市の兵を我が軍に取り入れられないものか」


 王は、そんなことばっかり言っている。


 よっぽど戦力が欲しいんだろう。


「死して尚、自らの王に忠誠を尽くす者達です、難しいかと」


「うぬぅ」


 領主様の言葉に、王様は唸っている。


「王様、宝を返さなければなりません」


「嫌じゃと言ったら?」


「我々は死にます」


「ムムムムムムッ」


 元々王様の物じゃないのに、なんでそんなに欲が突っ張っているのか。


「この者の言うことは道理です、返すしかないかと」


「では、娘、宝を渡すときに説得して参れ」


「説得ですか?」


 というか、わたしが返しに行くことになってる?


 まずくない?


「戦力と宝を交換か、もしくは違う条件を引き出してくるのだ」


「1000年前の王です、常識も価値観も違うものかと」


「とにかく、やってくるのじゃ!」


 なんか無理難題をふっかけられていた。






「サーリャ、トレイシー、ついてきて」


 冒険を引き上げてきていたサーリャとトレイシーに事情を話す。


「行きましょう」


「私も役に立って見せましょうぞ!」


 取りあえず、ふたりでいいかな。


 戦闘にはならないと思うけど、万一のこともある。


 わたしは、自分の部屋にふたりを入れると、ディーンエヴェンダーを使って、ピラミッドの中と繋いだ。


 シールズと同調していたので、内部に飛ぶことができる。


 ピラミッドの中は、古代の装飾が施されていた。


 やはり王の建物という感じがする。


「コットン!」


 ココが飛びついてきた。


 みんないる。


 一安心だ。


「宝を持ってきました」


「どーして知ってるの!?」


 ココが驚いている。


 カーツ君がホッとしたように息を吐いていた。


 アイティラと名乗った女王は、うんと頷いて、宝を受け取ってくれる。


「これで、黄金都市の膨張は止まるでしょう、兵も引き上げさせます」


 壁には、竜王軍と古代都市兵が戦っている様が映し出されていた。


 女王が何事かつぶやくと、古代都市兵は、戦いを止めてピラミッドに戻っていく。


 ふう、取りあえずこれで大丈夫だ。


 最悪の事態は避けられただろう。


 でもあの王様の、おねだりがある。


 なんだか切り出しにくいけど、やらなくちゃいけない。


「女王様、少し相談なのですが、なにか要求はありませんか?」


「要求?」


「この国の王が、貴女の兵を大変お気に召しています、その戦力を貸して頂けるような、なにか要求です」


 みんな驚いている。


 それはそうだろう、そんなお願いを思い付くなんて、さすが王様だ。


「1000年前の国を復興できれば一番良いですが……それ以外に願いはありません」


「女王様は蘇ったのですよね、なにか望みはないのですか?」


「ありません……このまま朽ちるに任せます……」


 うーん、無欲。


 これはとっかかりを探すだけでも大変だ。


 と言うか無理だ。


 王様、諦めてください。


 そのとき……みんな黙っていたその場で、ココが変なことを言った。


「じゃあ……一緒に冒険しようよ!」


「えっ!?」


 全員がギョッとしている。


「冒険、とはなんですか?」


「お宝を探したり、モンスターと戦ったり、ときには人と揉めたり、交渉したり、きらきらしたことが、全部冒険、いずれ世界に名を轟かせるのが冒険だよ!」


「ココ! 何を言い出すんだよ!」


「す、すみません、この子ちょっと馬鹿なんで」


 グレイ君とチェリーさんがココの口を押さえて、カーツ君が頭を抱えている。


 アーレイは、ふーんという具合でいつもと変わりなかった。


 大物だ。


「きらきらしたこと……ですか」


「もがっ! そう! あたし、冒険者になってからずっときらきらしてる!」


「こらっ、ココっ!」


 でも、女王様はふと笑顔を見せてくれた。


「いいでしょう、わたくしの望みは冒険者になること、そのきらきらというものを見せてください」


「やったー!」


「そんな……」


 グレイ君がへなへなと座り込んでしまう。


 こんな意外なことが……。


「では、貴女にこの兵力をお預けしましょう」


「わたしですか!? いえ、わたしではなくて、この国のですね……」


「貴女にはよこしまな心がありません、兵をお貸ししても大丈夫でしょう」


 あああああああああ……。


 なんだか、自分に兵をコントロールする能力が備わったような気がした。


 なんでこんな……。


「では、連れて行ってください」


 若いパーティーに、女王様が加わった瞬間だった。


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