第八十六話 鍛冶職人
「そう言えばよ、鍛冶屋のジイさん、ぽっくり逝っちまったらしいぜ」
「マジかよ、他のところは値段がたけえし、兵士の面倒ばっかりだからなぁ」
「後は、二丁目の通りの若い職人か」
「あれは、腕も性格も悪いから兵士の鍛冶ができねえだけだよ」
「でも、そこしかねえからなぁ」
「…………」
なるほど、鍛冶師が足りないのか。
マジックアイテムに全身、身を包んで、なんて夢のまた夢な冒険者がほとんどだ。
ましてや、若い子達が冒険で使った武具を修理できないなんて、死活問題だろう。
「パパ、ギルドの鍛冶場ってまだ使えるの?」
「鍛冶職人が辞めてしまって、使ってないけど、悪いところがあれば修繕して使えるようにするよ」
肉や果物、薬草、もちろんマジックアイテムとか、ギルドに持ち込まれた物はパパが売りに行く。
今日は、モルソー君がついて行くみたいだ。
「そうなんだ……」
「どうしたんだい? 鍛冶職人が来たのかい?」
どうしよう、でも、作るしかないか。
「うん、ちょっと仕事をできるところを探している、流れの鍛冶職人さんらしいんだけど」
「それなら、うちでやってもらおう、雇うのか、場所を貸してお金をもらうのか、どんな形が良いか相談しないとだけど、腕は良さそうだったかい?」
「うん、凄腕だと思う」
まだ作ってないけど、凄腕にはすると思う。
できれば、今のダンジョンマスターを倒すための、武器を作れるくらいの人だったら尚いい。
「コットンが言うなら間違いないね、是非うちに来て欲しい」
「わかった、そう言っておくね」
うん、じゃあ作らないと。
でも、腕が良いと、頑固だったり偏屈だったり、鍛冶屋って難しいんだよねぇ。
できれば、若い子達の面倒見てくれそうな優しい人がいいんだけど……。
はっ。
ほっ。
てりゃ。
できた……。
【名 前】 ブライアン
【年 齢】 67
【職 業】 シルバーハンド(SSS)
【レベル】 18
【体 力】 B/A
【魔 力】 C/B
【信仰心】 C/B
【筋 力】 B/B
【生命力】 B/B
【素早さ】 C/B
【知 恵】 C/B
【幸 運】 A/A
【成長率】 S/S
【スキル】 鍛冶職人〈SSS〉
【因 果】 諦念
【装備品】 オリハルコンの槌(SS)
【気持ち】 初心者のナイフを研ぎたい
作った。
これならどうかな。
歳は67歳だから、ちょっとご高齢だけど、腕は抜群に良いはず。
職業名が鍛冶師じゃなくて、シルバーハンドだもんね。
よし、銀の月冒険者ギルドで活躍すると、付け加える。
すると、ものの数分で男がやってきた。
この人かな?
67歳にしては若いから別人か?
鑑定。
「んん……?」
鑑定すると、ハーフドワーフだった。
ドワーフの血が混じってるから、長生きなんだ!
ドワーフと言えば、もう、歴史の表舞台から姿を消して100年以上経つ。
まぁ、ハーフだから大丈夫なのかな。
とりあえず、話を聞いてみよう。
男が受付の椅子に座る。
「鍛冶の仕事がしたいんだが、ここで雇ってもらえるか?」
なんか、ダウナーな感じだ。
偏屈では無さそうだけど……。
「なにか、鍛冶の目標とかありますか?」
「もう伝説の武器も作ったし、ユニコーンの角も、オリハルコンも、もういい、俺は、普通の武具を修理したり、初心者用の、ちょっと使いやすいナイフなんかを作りたいんだ」
なんか、来るところまで来ちゃった人なのかな。
冒険といえばドラゴンでしょう! みたいなところを、冒険といえばゴブリン退治でしょうみたいな。
フナに始まりフナに終わる、その終わるとこら辺にいるのかも。
「是非お願いします、鍛冶場はギルドに併設されてますから、そこで足りない物は教えてください」
「ほう、ここで打てるのか」
鍛冶職人の人を鍛冶場に案内する。
「パパ、話してた鍛冶の人が来たよ」
まだ出かけていなかったパパが、対応してくれる。
「あなたですか、早速契約したいんですが」
「契約? 好きにしてくれ」
「いや、しかし……」
「俺は、毎日鉄を打てればそれで良い」
「では、歩合にしましょうか、忙しそうならお支払いする額も上げます」
「好きにしてくれ」
鍛冶職人は、鍛冶場に入っていく。
「お嬢ちゃん、火種はあるかい?」
「はい、今持ってきます」
厨房から火をもらってくる。
鍛冶職人は、残っていた木炭に火を入れていた。
「大分使ってなかったみたいだが、まだこの炉は生きてるな」
そういうのわかるんだな。
「直すところは直しますから、言ってください」
「ああ、俺はまた、鉄を打てるんだ……」
なんか、しみじみとしている。
わたしは、受付に来る人に、鍛冶場ができたことを教えていった。




