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地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第四章

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第八十三話 新米パーティーの初陣


「では、下水道のジャイアントラット討伐ですね」


 今日は、ギルドで訓練していた若い子のパーティーが、旅立つ日だった。


 初めての冒険だから、引率にシールズが付いてくれている。


 シールズは、詩という強力なスキルを持っていて、コールゴッドとか使えるんだけど、冒険者としては中級くらいの腕前だ。


 アーレイに詩を教えてくれているから、丁度アーレイが旅立つパーティーに参加してもらっていた。


 他のパーティーメンバーは、戦士、盗賊、僧侶、魔法使いというオーソドックスな構成だ。


 アーレイは、天上の歌の事件のときにギルドに入った子で、珍しい呪詛師だけど、とにかく体力がない。


 不安だけど、いつかは送り出さなくてはいけなかった。


 みんなに最低限の装備をプレゼントする。


「わー、鎧格好いいですよ」


 戦士のグレイ君が照れている。


 戦士の男の子に、盗賊の女の子。


 魔法使いは、以前のミクロリニアの侵攻で魔力を得たカーツ君。


 あとは、アーレイ、神殿の女の子、シールズという布陣だ。


 戦士のグレイ君は弱気だけど、リーダーに任命していた。


 リーダー適正はあると思う。


 盗賊のココは、ちょっと楽観的で陽気、悪く言うとお馬鹿だけど、良いムードメーカーだ。


 カーツ君は頭が切れて真面目、パーティーのブレーンだ。


 神殿の子、チェリーはいつも不満そうにしている子で、なにかわけありっぽい。


「今日一日、わずかな幸運に恵まれますように」


 運を操る呪詛師のアーレイが、パーティーにバフをかける。


「これで、幸運になったの?」


「少しだよ」


「少しでもありがたいよ、初めての冒険なんて、自信ないから」


 リーダーはおどおどしているけど、他のみんなはやる気十分といった感じだった。


「アタシたちも、早く黄金都市で稼ごうよ!」


 ベテラン達は、黄金都市の話題で持ちきりだ。


 稼げるダンジョンとしての地位を確立していた。


「無理だよ……悪魔が出るんだから、それを倒せないと」


「なんでアンタは、そんなに弱気なのよ!」


 戦士のグレイ君と盗賊のココさんは、幼なじみらしい。


 息がぴったりと合っていた。


「目標があるのは良いことですよ、でも、黄金都市はまだ無理ですね」


 わたしは、一応釘を刺しておく。


 変な気を起こさないようにしないと。


「馬鹿なこと言ってないで、今日は初冒険だ、下水道のジャイアントラットの討伐だぞ」


 カーツ君はクールで真面目だ。


 パーティーのブレーンらしさがある。


「下水道なんて不潔だわ」


 チェリーさんは、やはり不満があるようだ。


 神殿は、このことを理解してるんだろうか?


 わかって送り出しているなら、試練みたいなものだろう。


「でも、誰かがやらなくちゃいけない仕事です、ジャイアントラットが増えると、病気が増えたりもします」


「わ、わかってるわよ……」


 クエストの意義みたいなところを説明すると、チェリーさんは引き下がる。


 やっぱり、ちょっとふてくされている、みたいな感じなんだろうか?


「下水道で良かった……何日も歩く冒険は、まだ無理」


「アーレイも、体力付けないとね」


「うん」


 毎日剣を振って、大分、体力が付いてきたけど、冒険ではどうだろうか。


 実戦は疲れると良く言うし。


「ジャイアントラットは、病気を持っているので、解毒剤は必ず持っていってくださいね」


「解毒剤なんて要らないよ、重いし割れるし」


 盗賊のココが、早速楽観的になっていた。


「駄目です、死んでしまうんですからね?」


 でも、他のみんなはちゃんと解毒剤を持っていた。


 うーん、心配だなぁ。


「シールズ、よろしくお願いしますね」


「お任せを、ちゃんと導いて見せますよ」


 ジャイアントラットの討伐だからと言って、油断していると全滅したりする。


 シールズには、頑張ってもらいたいところだった。


「さあ、出発しよう!」


 ココの合図で、みんなが冒険に出発した。






 そろそろかな。


 さっきのパーティーが下水道に入った辺りで、わたしはシールズに同調した。


 下水道は暗い。


 ココが、ランタンに火を灯す。


 そして、先頭を歩こうとしてグレイ君に止められた。


「こら、先頭に立つな」


「下水道に罠はないから、グレイが先頭で良いですよ」


 シールズが助言してくれる。


 あまり口出しすると、経験にならないから必要最低限くらいにするだろう。


「アタシが前を歩きたいの!」


「駄目だよ、危ないって……」


「ネズミなんて、大丈夫だよ」


 ココは自信満々だ。


 どこからその自信が来ているのか、不明だけど……。


「ネズミじゃない、ジャイアントラットだ、見たことあるのか?」


 ブレーンのカーツ君も釘を刺した。


 ちょっと危険な楽観だと思ったんだろう。


「見たことあるよ、猫よりも大きいネズミ、何食べてんだろうね」


「それはドブネズミだ、ジャイアントラットはもっと大きい」


 カーツ君が呆れている。


 慎重だから、冒険の前に、ジャイアントラットを調べ尽くしているだろう。


 逆に、ココは全く調べてないのが見て取れる。


「ココは馬鹿ね、ネズミじゃなくてモンスターなのに」


 チェリーは、あまり関心がないようだ。


 これも、楽観のうちなのかも知れない。


「はぁ、はぁ、意外と臭くないね、もっと酷いところだと思ってた」


 アーレイは、早くも息が切れている。


 何回も冒険に行くうちに鍛えられていくだろう。


「この前の、黄金都市までの道を作る工事で、大分整理されたらしいよ」


 グレイ君は、そういうちまたの噂に詳しいみたいだ。


 ちょっと弱気だけど、コミュ力は決して低くない。


 近所の噂とかも、ナチュラルに入ってくるんだろう。


「ねえ、黄金都市、行ってみない?」


 また、ココが余計なことを言っている。


「駄目に決まってるでしょ、ジャイアントラットも倒したことないのに、悪魔なんて絶対に無理です」


 シールズが止める。


 でも、他のみんなもココの甘言に惑わされたりはしなかった。


「黄金都市の通路の方には行かないぞ」


「ちぇー」


 新米パーティーは、下水道の奥に進んでいった。



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