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地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第四章

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第八十二話 竜王の侵攻

ちょっと短いスパンでお届けできました。


今回は16話です。


それでは、お楽しみください!


 ミクロリニアの侵攻が終わって、半月ほどが経過した。


 その戦いの傷は癒えているが、またすぐに別の戦いが始まる。


「おい、噂を聞いたか?」


 今、世界は大動乱のただ中だった。


「竜王軍がこの街を通るってよ」


「うげ」


 モルソー君が、変な声を出したわたしを見ている。


 咳払いして誤魔化すと、サーリャのところに行った。


 竜王とは、竜達の王。


 強いから、勝手し始める竜達の取りまとめ役として作成したんだけど、竜王も動き出したのか。


 いよいよ、動乱も大詰めかも知れない。


 竜王の軍を破るとしたら、同格の魔王軍だけだろう。


 まぁ、でも、それはわたしの時代だった頃の話だ。


 今頃、今のダンジョンマスターがろくでもない強力なユニーク個体を作っているかも知れない。


 ユニーク個体とは、真祖や竜王や魔王、サーリャ、生まれ変わってしまったけど、トイレイシーなんかがそうだ。


 もう大変なポイントが必要だから、7年じゃ、まだ1~2体しか作れていないだろう。


 ダンジョンマスターの居所がわかったら、サーリャとトレイシー、それにルルーナとフランセス、エリシャ……後は、真祖は来てくれないかなぁ、もう何人か欲しい。


 行き当たりばったりじゃなくて、計画的に人員を揃えたいところだった。


 それと装備だ。


 わたしのコレクションから出してもいいけど、ダンジョンマスターも相当な装備を調えているだろう。


 なにか、イノベーションを起こしたいところだった。


 そんなことを考えていたある日、竜王が通ると言うことで、アンデマンドに国王様がやってきた。


 天上の歌の一件で、この王様がモンスターを司る神を創造したがっている、というのはわかっている。


 なんだか、一大事になってきていた。


「でも、竜王はどうしてこんなところを通るんだろう」


「ヘグルマンドは、マスターに挨拶に来たいのでしょう」


「え? なんで、わたしのこと知ってるの?」


「ディーンエヴェンダーで旅をしたときに、少しだけですが、ヘルグマンドのところに寄りました」


 以前、天上の歌の事件のときに、ラドクリフっていう男の土着の神様のルーツを探りに、サーリャが旅をしたことがあった。


 そのときに、竜王ヘルグマンドに会ったらしい。


「じゃあ、わたしのところには来ないでって、言ってきて」


 ただのギルドの受付嬢に、竜王が挨拶に来るというのはおかしい。


 色々面倒だから、そんなことにはなって欲しくなかった。


「それは無理なのでは?」


「無理って……」


 サーリャが、いたって真面目な顔でそう言う。


「ヘルグマンドはマスターを慕っていますから」


 わたしは、モンスターに好かれる。


 そういう体質なのだ。


 竜王は、モンスターじゃないけど、そういうことだろう。


「でも、国王とかいるのに、わたしのところに来たらおかしいでしょ?」


「では、領主の城で会いましょうか、マスターは領主に竜王と会いたいと、褒美をねだればよいかと」


「う、うーん」


 何か褒美をくれるという約束になっている。


 もっと違うことに使いたかったけど、まぁ、いいか。


 ギルドに直接来られるよりは、全然良い。


 そして、竜王が到着した当日。


 街の中が騒がしくなっていた。


 屈強な竜王軍を一目見ようと、街の人達が中央通りに集まってきたのだ。


 外には、ドラゴニュート達が天幕を張って野営の準備をしている。


 その中には、小山ほどもあるドラゴンが何匹もいて、勇壮さに磨きをかけていた。


「領主様に取り次いでもらいたいのですが」


 城の門番に、そう伝える。


「今日は忙しい、別の日にしろ」


「今日でなくては駄目なのです」


 わたしが、領主様と懇意にしていることは知っているだろう。


 門番は迷った末に、わたしを領主様のところに案内してくれた。


「なんの用だ?」


「以前、褒美をくれるという約束でしたが、竜王様との面会を希望します」


「竜王殿と? 会ってどうする?」


「まぁ、色々ありまして……」


 詳しい話はできない。


 でも、領主様は少し考えた後、了承してくれた。


「ただし、国王陛下と竜王殿、俺がいる謁見室で会ってもらう、妙なことになっては困るからな、それでいいか?」


「できれば、竜王様とふたりきりで会いたいのですが……」


「なぜだ?」


「ううっ……」


 答えられない。


 でも、答えなくちゃいけないだろう。


「竜王様とは、面識があるのです。ですので、国王陛下や領主様とは別にお会いしたいです」


「ならば尚更だな、知らぬところで妙な話をされても困る、謁見室でなら面会を許そう」


「ああぁ……」


 わたしは、渋々だが、その条件を了承した。


 謁見質に行くと、国王陛下が領主様の座る椅子に座っている。


 王が座れば、それは全て玉座なのかな?


 まぁ、いいんだけど。


 この人が、アインザックさんとアーレイのお父さんなのか。


 初めて見たけど、結構愛嬌のある顔をしている。


 アインザックさんもアーレイも美形だから、母親似なんだろう。


 領主様が陛下のとなりに立つ。


「その娘はなんじゃ?」


 国王陛下は、わたしを不思議そうに見ていた。


 ギルドの制服だし、この場には不釣り合いに映ったのかも知れない。


「は、役に立つ娘にございます」


 また、ざっくばらんな説明を……。


「役に立つだと?」


「は、じつは……」


 なにやら内緒話をしている。


 自分のことを話されていると思うと、居心地が悪い。


「娘、竜王殿との謁見を許す、邪魔にならないようにそこに立っておれ」


「はい」


 そしてしばらくすると、扉が開いた。


「竜王ヘルグマンド様御入来!」


 衛兵が高らかに声を上げる。


 そこには……見知った赤髪の青年が立っていた。


 わたしと目が会うと、竜というより別の生き物のように飛んでくる。


「コットン様、お久しぶりでございます」


 ヘルグマンドは、わたしの前に跪いた。


 国王陛下も、領主様も、みんな驚いている。


 領主様には面識があると伝えておいたけど、まさかこうなるとは思っていなかっただろう。


 でも、わたしは、こうなるから、ふたりきりで会いたかったのに……。


「お久しぶりです、竜王ヘルグマンド様、元気なようで安心しました」


「我は、いつも元気です、いや、心配しましたぞ」


「今の立場があるから、あんまり話し掛けないで」


 国王陛下と領主様には聞こえないように、内緒話をする。


 ヘルグマンドは、心得たとばかりに立ち上がると、国王陛下の方に行った。


 はぁ、なんとかなったかな。


 不自然に思われたと思うけど、傷は浅い。


「おお、竜王殿、長旅でお疲れでしょう、こちらに座ってくだされ」


 用意されていた玉座の隣の席を勧めた。


 でも、ヘルグマンドは興味なさそうに断る。


「いや、結構、長居するつもりはない、街の外に軍を留める故、挨拶に来たに過ぎん」


「いえいえ、今日はもてなさせて頂きますぞ」


「いや、いい、我に会いに来る者は、皆願いを持っている、国王の願いを聞こう」


 そうなのだ。


 竜王に会いに行くのは大変だけど、願いを叶えてくれるというのは有名な話だった。


「…………」


 国王は、神の創造を諦めていないだろう。


 竜王の力を借りようとしているんだ。


「うむむ……それでは、失礼ですが、竜王殿は、竜の勾玉をおもちだとか」


「持っているぞ、それがどうした?」


「ぶしつけですが、それをお貸し願いたいのです」


「何に使う?」


 竜の勾玉といえば、国宝クラスの逸品だ。


「そ、それは……そう、この戦乱の時代を終わらせるために使います」


「話が見えんな」


 国王陛下が言い難そうにしている。


 だから、わたしが教えてあげた。


「国王陛下は、モンスターを司る神を創造したいのです」


「なに!? 神の創造だと!?」


 ヘルグマンドが驚いている。


「こ、小娘、どこでそれを……い、いや、それはあくまで一時的なこと、ワシはこの戦乱を終わらせたいのです」


「モンスターを自在に操って、お前の国が勝利すると言うことか」


 ヘルグマンドは考えている。


 自分も出陣してきたのだから、この動乱に参加する気は満々だろう。


「我には決め切りませぬ、コットン様、ご采配を」


「なんですと!」


 国王陛下と領主様が、また驚いていた。


 竜王様が、ギルドの受付嬢に采配を仰ぐというのは、異常な事態だろう。


 でも、もう、ハッキリ言ってしまおう、


「駄目に決まってるじゃん」


 モンスターを戦争の道具にするなんて許せない。


 そりゃ、戦乱は終わって欲しいけど、なんでもいいってわけじゃない。


「こ、小娘が、私に意見するか!」


 国王陛下が、怒って立ち上がる。


 でも、それをヘルグマンドが遮った。


「貴様、コットン様に害を加える気か」


「あ、いや、それは……」


「もしコットン様に何かあったら、我が軍団をもって貴様の国を蹂躙してくれる」


「ひいっ、それはお許しを!」


 領主様は何も言わない。


 内心反対なのかな?


「竜王殿は、この後、どうするおつもりですかな?」


 領主様は、話を切り替えるようにそう言った。


 それは、知っておきたいのだろう。


「軍団を率いて、北方を平定する」


「つまり、第三勢力になるということですな」


「そう言い換えても良い」


「しかし、竜王殿が動くとなれば、魔王も黙ってはいないかも知れません」


「なに、そうなれば雌雄を決するのみ」


 魔王も、わたしが作った子だ。


 できれば戦って欲しくないなと思いながらも、今の立場では何も言えなかった。



本日は4話投稿します。


その後は一日一話ずつ投稿していきますので、よろしくお願いします!

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