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地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第三章

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第七十九話 作戦開始


 偵察に出たサーリャに同調して、その光景を見る。


 サーリャは、屋根の上にいるのかな?


 ミクロリニアの兵は、街の中央に集まっていた。


 そして、これがワードナーか、全軍の指揮官が登場し、バフをかける。


 八千人からにバフをかけるのは難しいので、範囲バフなんだろう。


 でも、レベルが倍になるというのはかなり強力なバフだった。


 しかも、一兵卒に至るまで、全員が邪教の神官魔法を使える。


 普通に戦ったとしても、ミクロリニアの兵は強いはずだ。


 昼過ぎに集められた兵達は、まず1000人程が別れてダンジョンへと入っていった。


 出入り口に罠でも仕掛けるのか、最悪でも、見張りは置くだろう。


 そして夕方頃帰ってきた兵は、半分くらいまでその数を減らしていた。


 ダンジョンに少数の兵をおいてくるはずがないから、モンスターやトラップで数を減らしたんだろう。


 偽地図の成果が出ている。


 そして、その間、ワードナーは、10分おきにバフをかけ直し、兵達は領主軍を待ち構えていた。


 いつ来るかわからない敵を待ち構えるのは酷だけど、バフをかけた状態で戦うというのが、軍師であるイロプスの判断なんだろう。


 おそらく、昨夜はバラバラで戦ったので、バフがなかったんだ。


 ゲリラ戦の格好の的になってしまったから、全軍をひとつにまとめてるんだろう。


 先に干上がるのは、アンデマンドの住民達だ。


 領主様もそれはわかっているだろう。


 待つことができるのは、ミクロリニアの方だった。


 でも、この状態ならできる。


「アイヴォリー、領主様のところに言づてを伝えに言って」


「わかったッス」


 わたしは、ディーンエヴェンダーの鍵を使ってアイヴォリーを送ると、ママやおばあちゃんの目を盗んでサーリャのところに行った。


「どうしましたか?」


「もう夜だから、これがいいかなって」


 わたしは、以前思っていた、ニュートラライズを創り出した。


 サーリャは首をかしげている。


「どうするのですか?」


「ニューエールの利いている状態を中和しよう、酷い禁断症状が出るはずだよ」


「なるほど、ニューエールを中和するんですね」


 わたしは、ニュートラライズを二十体創り出すと、兵士達のいる方に解き放った。


 夜の闇に紛れて、ニュートラライズは霧(きり)にしか見えない。


 まぁ、いずれバレるだろうけど、そのときにはもう遅いはずだった。


「アイヴォリーを領主様の使いに出したから、すぐに戦闘が始まるよ」


「了解しました」


 わたしは、完全に日が落ちる前にギルドへ戻ると、残っている冒険者を集めた。


「みんな、領主様の軍隊がすぐにもミクロリニアの兵とぶつかります!」


「どうしてそんなことがわかるの?」


 ルルーナは不思議そうだ。


 でも、全部を説明することはできない。


「いいの、わたしを信じて!」


 無茶苦茶だとは思うけど、誰も反対しない。


 こういうときに、日頃の行いが出るんだなぁ。


「それで、ワレワレを集めたのですカラ、何か策があるのデスよね」


 機械兵のガブリーがそう言う。


 滅茶苦茶高レベルで、古参の機械兵だ。


「敵の総大将ワードナーを何とかしないと、領主様は負けちゃうか、勝ってもすごい被害が出ちゃう」


「どうするのですか?」


 同じく機械兵のメアリーだ。


 メアリーも、ちょっと考えられないくらいレベルが高い。


 ふたりとも、昔の私が作った機械兵だ。


「戦闘が始まったら、みんなでワードナーのバフを何とかして欲しいの」


「総大将を、俺たちで倒すってことか?」


 フラニールさんは、あまり歓迎していないようだ。


 無謀と感じるんだろう。


「ううん、オニールさんのバルリオン魔法で改宗させちゃえば、もうバフ魔法は使えないはずだよ」


「あらぁ、ワタシをそんな大切な役目で使ってくれるのぉ!?」


 オニールさんは、嬉しそうに身体をくねらせた。


 フラニールさんは、それを気味悪そうに見ている。


「今、ミクロリニアの兵はニューエールの禁断症状で苦しんでるから、何とかなると思います」


「そうなの!?」


 ルルーナが驚いている。


 まぁ、そうだよね。


「うん、町中のニューエールと普通のエールをすり替えておいたから、頭痛とかめまいとか、酷い状態のはずだよ」


「ど、どうやってそんなことを?」


 フラニールさんも驚いていた。


 あんまり突っ込まれると困る。


「それはいいから、みんな頑張って欲しいの!」


「よし、やるよ! みんなもやるよね!?」


 ルルーナが士気を上げるためか、同意を求める。


 でも、そこにおばあちゃんが入って来た。


「待った、魔法使い達はお休みだよ、乱戦には弱いんだから、自重しな」


「そんなー」


 フランセスが悔しがっている。


 でも、トレイシーには働いてもらいたかった。


 トレイシーの確率操作で、ワードナーのバフを邪魔して欲しい。


「セレシュちゃんは連れて行って欲しいんだけど……」


「じゃあ、あたしも行かないとね」


 パーシアさんだ。


 トレイシーは、フラニールさんとパーシアさんのパーティーにいる。


 デイジーとオリーブはお休みだ。


「仕方が無いね、その二人だけだよ」


「よし、じゃあ、改めて頑張ろう!」


「よっしゃー!」


「おーっ!」


 作戦開始だった。


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