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地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第三章

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第七十七話 ミクロリニア軍との同居


 偵察に出ていたアイヴォリーが、ギルドに戻ってきた。


 雨が降ってきていて、ずぶ濡れだ。


 わたしは、用意していたタオルを渡す。


 外の状況はわからないから、みんな不安そうだ。


「領主の城にミクロリニアの国旗が掲げられているッス」


 城は落ちたようだ。


 それはそうだろう。


 こんなに簡単に外壁を突破されるとは、思ってもみなかっただろうから。


「そうかい、ご苦労だったね」


「兵は、組織だった抵抗を見せなかったようっスね」


「じゃあ、全滅……?」


 ざわっと、ギルド内がざわつく。


 冒険者達も明日は我が身だ。


「皆殺しにされたのか、捕虜にされたのか、それはわからないッス」


「領主はどうしたんだ?」


 街の人からも、冒険者達からも絶大な信頼のあるのが領主様だ。


 元冒険者で、成功して領主になる。


 そんな夢みたいなサクセスストーリーを体現している人だからだ。


「それもわからないッス、逃げたか捕まったか、行方不明ッス」


「ミクロリニアの兵はどうしているの?」


 ママはそれが気になるのか、アイヴォリーに確認した。


「金持ちの家を接収しているッス、身分の高い騎士の住処にするッスかね、あと、住民に食糧を提供させているッス」


「食糧かい、そうだろうね」


 忌々しげに、おばあちゃんが舌打ちをする。


 この家というか、ギルドは戦える人がたくさんいるから、まだ不安も少ない。


 でも、街の人達はみんなすごく不安だろう。


「しちょうたいが来るまで、街の食べ物を食べるのかなぁ、やだなぁ」


「略奪は行われているの?」


「行われていないッス、邪教とはいえ神の軍隊ッスから、統率は取れてるッスね」


 サロード教は苛烈な異端の迫害を行わない。


 どちらかと言うとマイナーな邪神なので、異端を迫害していたら誰もいなくなってしまう。


 異端狩りなどを行うのは、秩序の神にせよ、混沌の神にせよ、有名どころだ。


 それに、サロードは生まれ持った生き方を強要してくる神様だから、まだ街の人は教えに反していない。


 教えに反したら、どうなるかわからないけど……。


「8千人を賄うのは大変ね」


「ミクロリニアから食糧を運ぶにしても、そもそもが貧しい国だからね、住民の分まではないだろうね」


「え……」


 ルルーナが青い顔をしている。


 いや、冒険者は、いざとなれば狩りでも何でもすればいい。


 問題なのは、食糧を供出させられた後の住民達だ。


「このままだと、まぁ、住民が干上がるまで三日ってところかね」


 ミクロリニア軍は、補給を受けるまで五日だとして、手持ちの糧食がそんなところなのか。


 住民は補給がないから、食糧を供出した後、遠くない未来に破綻が見えている。


 そこで、扉が外側からけやぶられた。


 ギルドに立て籠もっていたみんなが構えるけど、誰も入ってこない。


 そこに、柔和な笑みを浮かべた男がひとり入ってきた。


 黒い鎧を着ている……ミクロリニアの兵士だ。


「どうも、こちらは冒険者ギルドですよね」


「そうだよ、あんたはミクロリニアの兵隊かい?」


「中間管理職をしている位に思って頂ければ」


「ふん、サロードの司祭かい」


 その人は、雨に濡れた身体を手で払う。


 ギルドの床が、雨に濡れた。


「我々は、イナゴのように街を食いつぶすつもりはありません、これからもしっかりと街を統治していくつもりです」


「それで?」


「ダンジョンの産地として名高いアンデマンドの街で、冒険者の方々は優遇させて頂きます」


 後ろにいた冒険者達がホッと息を吐く。


 いきなり皆殺しの戦いが始まるわけではないようだった。


「こちらは、何名くらい寝られますか?」


「ベッドの数は100くらい空いてるよ、整えてないけどね」


「外で寝るよりはマシです、騎士を百名おいていきますので、よろしくお願いします」


「ここで寝るのかよ」


 ぼやく声が聞こえる。


 でも、思っていたよりもずっと紳士的な対応だった。


「ああ、そう、食事代や部屋代は後でまとめて請求してください」


「わかったよ」


「これから、良い関係を築いていきましょう」


 ミクロリニアの幹部が合図をすると、そこにゾロゾロと騎士が入ってきた。


 騎士達も冒険者も、ちょっと緊張した空気になっている。


「コットン、相手してやんな」


「う、うん……お部屋はこちらにどうぞ」


 わたしは、入ってきた騎士達を二階に案内する。


「この板が使用中になっていれば、その部屋は使用中です、裏返って、空き部屋になっていれば誰も使っていません」


「わかった、おまえたち、わかったな?」


「わかりました、隊長」


「三階も空いているのでどうぞ、食事は一階で食べられます」


「よし、副隊長、割り振れ」


「ハッ!」


 隊長と呼ばれた人が、空き部屋に入っていく。


 その後も、百名の騎士が部屋に入っていった。


 わたしが一階に下りていくと、冒険者達が外に出ていく。


「俺は出ていくぜ、一緒に寝られるか」


「街からは出られないと思いますよ?」


「だろうな、橋の下で野宿でもした方がマシだわ」


 結構な数の冒険者が出ていってしまった。


 みんなパーティー単位なので、冷静に行動してくれるだろう。


 冒険と一緒だ。


 でも、わたしが魔物作成で創り出した面々は、みんな残っている。


「危ないからね、外に出るときはパーティー単位で行動するんだよ」


「はい」


 街の子達は、今日はギルドに来ていない。


 また、街の子達がギルドに来る日のために、頑張りどころだった。


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