58 決着
紅一の右腕が赤く輝く。リゼのサイファーギアが起こす青いフィールドの一部が紅一の右腕にまとわりつくように補助する。
リゼは紅一の隣で左手を突き出す。サイファーギアが吸収した闇がそのまま青いパワーとなり、リゼの左腕で輝く。
彼らの必殺技だろうと、魔法少女達には理解できた。今まさに、地上に向けて破滅的な攻撃を仕掛けようとしているネクロズガカに対抗しようとしているのだ。
元が闇の力だから、特に紅一の赤い光はドス黒い。しかし、
「綺麗な光……」
ふと一人の魔法少女が呟いた。リゼの持つサイファーギアの青と混ざった時、紅一の赤は神秘的なピンク色に変わったようにも見えるのだ。
ついにネクロズガカの口が色のない発光をし、凄まじい波動が発射された。
「「行くぞぉ!!」」
紅一とリゼの声が揃い、彼らの手からも極太の光線が発射される。赤と青、さらにそれらが混じった部分はピンク色にも見え、そのままネクロズガカの波動と激突した。
二方向からの攻撃が押し合いになる。
「こっちも忘れんなよ!」
「隙だらけです!」
ダリヴァーとハヤテも彼らの大技を撃った。黄色と紫の光がネクロズガカの身体で着弾する。それらは確実にネクロズガカを削っているだろうが、3人の闇の力の消費が高まっているため、サイファーギアの青いフィールドの負荷が極限まで高まっていた。
リゼは、サイファーギアがオーバーヒートに近づいているのを感じている。
「頑張れサイファーギア!! 絶対に乗り切るよ!!」
サイファーギアは電子音で返す。リゼも物凄い剣幕で左手からの青い波動に集中した。
◇◇
「な、なんて力!!」
グレイス・キルシェが、ネクロズガカの攻撃に真っ向から対抗している紅一とリゼの攻撃を見て叫んだ。
キルシェもダリヴァーやガーベラとの戦いを経て、強力な技は数多く見てきた。しかし、ネクロズガカの攻撃も、紅一とリゼが放っている連携技も、明らかに次元の違う威力の技だと認識できた。
「紅一!! リゼ!!」
その物凄さはユーラル・ハートも理解していた。
リゼはチーム・ユーラルの仲間だし、紅一も元々はメンバーだったのだ。
身近にいたはずの二人は、魔法少女という枠を超えた存在だった。今、死力を尽くして災厄を倒そうとしている。
ハートは消耗していることを度外視して奮い立ち、飛び出した。
「ハート!」
ハートの意図を組んでか、キルシェも空を飛ぶ。チーム・グレイスのもう一人の魔法少女も続いた。
「遠くから少しでも攻撃をプラスする!」
ハートがピンク色の魔法ビームを放つ。キルシェもそれに続いたし、チーム・グレイスの緑の魔法少女も攻撃をした。
アルティメットフォームであるはずの彼女達の攻撃ですら、紅一とリゼの連携技の足元にも及ばないだろう。ダリヴァーやハヤテの攻撃にも届かない。
それでも、その姿を見た周囲の魔法少女達は奮い立った。魔物を相手にしつつも、ネクロズガカに攻撃を加える。例え針でつつく程度の影響しか与えられなかったとしても、少しでもネクロズガカの不利になるようにと願って。
◇◇
ランク1位チーム・ブレイブと結社No.1ブロードとの戦いについに決着がついた。チーム・ブレイブはエースだけがボロボロの状態で残り、ブロードはチーム・ブレイブの猛攻に敗れて倒れた。
「はぁっ、はぁっ……! ダメね、もう援護に回るパワーは残ってない……」
チーム・ブレイブのエースはブロードを拘束する手配をした後、飛行船の甲板に膝をついて戦場を眺めた。
結社No.4とNo.6もまた、他の魔法少女達の奮闘で拘束済みだ。後は飛び交う魔物達と災厄ネクロズガカのみ。そのネクロズガカとの戦いはどうやら架橋だった。物凄いエネルギーとエネルギーが激突しているのが見えた。
「後は、任せた……!」
チーム・ブレイブのエースが呟いた。
◇◇
「くそぉ、押し返せないなぁ!!」
「耐えるんだリゼ! 絶対に行ける!」
「言うじゃない、紅一! 大丈夫、まだまだ行けるよ!」
紅一とリゼは励まし合いながら技の放射を続けた。
すると、ネクロズガカの体全体からも色のないビームが四方八方に放たれ、攻撃を続けていた魔法少女達が撃ち落とされる。
前方には照射されなかったので、紅一とリゼはターゲットに入らなかった。しかし、ネクロズガカが他の攻撃に意識を散らしたためか、押し合っていた攻撃に緩みが出た。
さらにダリヴァーとハヤテがダメ押し攻撃をし、ネクロズガカの波動の出力が弱まる。
「今だ!」
「こなくそぉ!!」
紅一とリゼが気合を入れ直し、赤と青の混合攻撃は、ネクロズガカの色のない攻撃を押し込んだ。
押し合いの境界が一気にネクロズガカ側に移動する。ネクロズガカは慌てたような様子を見せ、口から放射している攻撃に集中する素振りを見せた。
しかし、もはや押し返すタイミングを失っていた。
赤と青の光が、ネクロズガカの身体を貫いた。




