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49 結社再び

 桃華(ももか)先輩達、チーム・グレイスは封印のための準備に入ってしまった。アルティメットフォームでのパワーを少しでも増大させるというのだ。


 パワーがあればあるほど、ネクロズガカが色を吸い取ることに夢中になって、より次元の遠くに追放できるからということだった。


 準備ができ次第、上空のネクロズガカの元に出向き、生贄としての責務を果たすのだそうだ。


 完全に桃華先輩達を犠牲にする考え方に吐き気がする。私は今でも、どうすれば止められるのか考えている。


 魔法少女には勝てないというが、本当にダメなのか。挑戦してみても良いのではないか。そんなことも考えて、チーム・ユーラルに話したこともあるが、特にユリールが反対した。


 ユリールもユリールで、ネクロズガカの情報を入手したらしい。魔法少女の攻撃は色を吸い取る触手に吸収されるし、どうにもならないとのことだった。


「やり切れない」

「うん」

「ふぅぅ……」

 私と浅黄(あさぎ)と紫帆(しほ)の声が揃う。何だか、3人で理人(りひと)への恋バナをしていたのが懐かしい。今でも気持ちは変わっていないけれど、今の状況を表すなら、それどころではない、だ。


 理人も理人で辛そうだった。チーム・グレイスの将(しょう)さんには色々と良くしてもらっていたのだから。


 リゼはいつものようでいて、情報を睨んでいることが多くなった気がする。真剣な顔をしていることも多い。


「ネクロズガカの封印の下見、あたし達も参加するんだよね?」

「ああ。ボク達も認められてきたね。通常の魔法少女には秘密事項だからさ」

 ユリールはそう言うが、桃華先輩が私に情報を教えなかったら、チーム・ユーラルには情報は降りてこなかったと思う。



    ◇



 魔法少女連盟の空を飛ぶ乗り物で、チーム・グレイスと共に上空に浮かぶ黒い塊の元へ向かう。会話は特にはない。チーム・グレイスの背負っているものが大きすぎて、何を喋って良いのか分からなかった。


「近づいてきたね」

 ユリールが言った。


 近づけば近づくほど、ネクロズガカの黒い禍々しい邪気が目に見えるようになってくる。邪気は本来、魔法少女に変身しなければ感じ取ることはできないが、目に見えてしまうのだ。


 ネクロズガカは黒い何かという形容しかできなかった。あれはこの世界に姿を見せている本体の一部に過ぎないらしい。黒い塊の周囲の空間にヒビが入っていて、そこから見える空間が裏の世界ということだ。


 魔法少女に変身すると、ネクロズガカが反応して色を吸う触手をけしかけてくる可能性があるので、今回は全員変身していない。ただし、近づきすぎれば魔法少女でなくとも攻撃を受けるので、ある程度の距離を取って観察をした。


 チーム・グレイスは、本番ではアルティメットフォームに変身した上で、こちらの次元にいる間は触手を回避するらしい。生贄となるのは裏の世界に乗り込んでからということだ。


 しかし、どうやら別の問題があるようだった。


「あ、あれは……!?」

「船? 魔具なの?」

 ネクロズガカから少し距離を置いたところに、魔具と思われる船が浮いている。甲板に二人の人間が立って、こちらを見ていた。


「結社No.3ガーベラ……!」

「No.4のノレクスもいる!」

「ってことは、結社が勢揃いってわけね」

 桃華先輩、浅黄、私の言葉が続いた。


 結社アルコはネクロズガカを使って世界のリセットを試みようとしている。ならば、封印の儀式を妨害してくるのは当然だ。


「ここを突破するにはあいつらを倒さないといけないってことか」

「でも、No.2のダリヴァー単独で私達を倒すほどの奴らよ」

 将(さん)とチーム・グレイスの魔法少女が言った。


「これは、まずいことになったね」

 魔法少女連盟の職員も頭を抱えている。確かに、これまでの封印の儀式とは、結社が存在しているという点で違っているのだ。


「魔法少女による総攻撃が必要になるかもしれない」

「ランク1位と2位は出撃可能なのか?」

 職員達が言葉を続ける。


 結社No.1を見た者は少ないが、前回の封印の地での戦いで、ランク1位と2位を一手に引き受けたという。特にランク2位チームの魔法少女はかなりのダメージを負ったとも聞いている。そんな敵を相手にするとなると、厳しい戦いになることが予想された。


「ガーベラ……!」

 私は思わず声を荒げた。目が合ったような気がしたのだ。


 桃華先輩をズタボロにした女! 桃華先輩が復活した今、せめて一緒にガーベラにリベンジをしたかった。



    ◇



 結社が封印の儀式を妨害するためにネクロズガカの近くに陣取っているのは明らかだった。魔法少女連盟の職員が話していた通り、結社との総力戦が計画された。封印の儀式のこと自体は、大半の魔法少女には伏せられた状態で実行される。


 全部が終わった後、チーム・グレイスについての情報操作も行われる予定とのことだ。


 正直、封印の地で結社に敗れたことを鑑みても、果たしてうまくいくのだろうかという疑念は残る。


 それでも、総攻撃の日は徐々に近づいていった。

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