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36 魔法少女の奮闘

 ユーラル・アクアと紅一(こういち)が結社No.2ダリヴァーに連れ去られた。ダリヴァーがどういうつもりかは分からない。二人とも心配だけれど、今の私は目の前の敵、結社No.3ガーベラに集中している。


 桃華(ももか)先輩をズタボロにした女! 絶対に許さない!


「気合が入っているわね、ユーラル・ハート!」

「あなたは絶対に倒す!! キルシェ先輩に代わって、私が必ず!!」

「ああ、グレイス・キルシェ。さぞや無惨な姿で治療でも受けているのかしら?」

「黙れぇ!!」

 ガーベラの挑発的な言葉に、私の心は激昂する。ピンクの魔法光弾を放つも、ガーベラは赤い光でそれを撃ち落とし、回避も使ってやり過ごされる。


「そぉら!」

 ガーベラが右手に持っているステッキを振ると、赤いビームが理人(りひと)を襲う。導き手(ビーコン)を落として私のアルティメットフォームを解除しようとしているんだ。


 しかし、私はガーベラと1対1をしているわけではない。ユーラル・トパーズとラベンダーが理人への攻撃を防御してくれるし、まだ倒れていない魔法少女も何人か援護してくれている。


 おかげで私はガーベラとの戦いに集中できていた。


「あなたはグレイス・キルシェと仲が良かったのかしら? だったらあなたにも見せたかったわ。あの気取った魔法少女が泣き叫ぶ姿を」

「なっ!!」

 許せない、許せない! 桃華先輩を……、侮辱するな!!


 私はピンクの光をまとった拳で近接戦を仕掛けるも、ガーベラはステッキを巧みに操って近接戦にも対応してきた。


「あの施設は監視カメラだってあったでしょう? グレイス・キルシェがやられる姿も記録されているはず。あなたも見たんじゃないの?」

「ぐっ……!!」

 その存在は知っていた。結社の手口を知るため、見るかどうかを魔法少女連盟の職員から尋ねられた。けれど、私は見れなかった。ベッドに横たわる桃華先輩の姿が痛ましすぎて、苦しんでいる場面など見ることができなかったのだ。


 リゼは、見てしまったらしい。だから、リゼは桃華先輩の病室に血相を変えて駆け込んできた。あのリゼがあそこまで必死に謝っていた。どんな目に遭わされていたのか!


「なんだ見てないの? でも、ネクロズガカが復活したら見ざるを得ないわよ。あなたも、他の魔法少女もね。ネクロズガカの習性を知る貴重なデータなんだから。その時、この国最強の魔法少女が無様に悶える姿を見て、何人の魔法少女の心が折れるかしらね」

「ガーベラぁぁぁ!!!!」

 やられたのが桃華先輩だったのも、それが狙いなんだ! 魔法少女達の士気を下げることを狙って!


「その顔、いいわね! 正義感ぶっていかにも魔法少女って感じだったグレイス・キルシェよりよっぽど良いわ! 憎しみは人間の感情! それでいい!」

「このぉ!!」

 怒りに任せて攻撃をしても、ガーベラの余裕の態度は変わらない。遊ばれているという感覚が振り払えない。嫌な女だけれど、流石は結社No.3!


「うああっ!!」

「いやあっ!!」

 ユーラル・トパーズと別の魔法少女の悲鳴が上がる。私と対峙しながらも周囲に攻撃をばら撒いていたガーベラの攻撃が当たったようだ。二人はダウンして変身が解除されてしまった。


「段々と仲間も減ってきているわね。さあどうする、ユーラル・ハート!?」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 つ、強い……。本当に強い……!


 桃華先輩なら、グレイス・キルシェならどうする? あの人が万全だったらきっとガーベラにも負けなかった! 私が桃華先輩の代わりを務めなければ!


 その時、背後から赤い光線がガーベラに直撃した。


「なにっ!?」

 ガーベラも驚いたようで、同じ赤い系統の光の防御を貼り、その光線をやり過ごした。


「あ、赤い闇使い!!」

「あなたね……」

 ユーラル・ラベンダーと私の言葉が続いた。


 助けてくれるのはありがたいけれど、この人にも魔法少女連盟からは逮捕命令が出ている。桃華先輩がいない今、やるべきことは全て(・・)やらなくては! ガーベラとの戦いに利用した後、こいつも拘束するべきだ!


「え……、何故あなたがここに……?」

 初めてガーベラが動揺したそぶりを見せた。


「無事か?」

 赤い闇使いはガーベラには反応せず、私達に語りかけてきた。


「無事に見える?」

 魔法少女の一人が言った。周囲には倒れている者も多いのだから無事なんて言葉は当てはまらない、そう言いたいようだった。


 しかし、赤い闇使いはいつもと様子が違う気がする。マスクを被って表情は分からないが、何か覇気のようなものを感じる。


「まずはこいつからだ。行くぞ!」

 赤い闇使いはそう言った。いつもなら援護に徹する姿勢なのに、自ら前に出ようとしていた。やはり、何か違う。


「あなた、闇に侵食されていないじゃない!」

「ちょっと面白い発見があったんでね。君を倒したら戻って詳しく調査したい!」

 ガーベラと赤い闇使いの会話の意味は分からなかったが、赤い闇使いの声が浮ついていた。本当に、何かあったのだろうか。



    ◇



 赤い闇使いは積極的に攻撃をした。それは彼の闇の侵食を強めるだろうから、危険と思われた。しかし、どうも自分をコントロールできていないように見える。


「でも、それならそれでいっか」

 ガーベラを倒すのに利用してやる。本人が闇の力を使っているんだ! 彼の自己責任のはずだ! そして、もし彼が闇に堕ちたら……、倒す!


 桃華先輩ならそうするはずだ! 桃華先輩はきっと帰ってくる! あの人が帰ってくるまでは、私が代わりを!

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