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憧れの魔法少女になれたけど、恥ずかし過ぎて死にそうです!!  作者: じゃむばた


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木星のイエローサファイアと残りの宝石

 不二木を倒すと胸から力強いエネルギーを感じた。

 その力はやがて胸の中心に集まり結晶化していく。


『木星のイエローサファイアが発現しました』


 胸からふわりと現れた綺麗な宝石を手に取ると、ナヴァラトナより私は急いで奈々子ちゃんの下に駆け寄る。


 奈々子ちゃんは既に起き上がっており、大事に至ってはおらず、安堵に胸を撫で下ろすとルル様とまひるちゃんがやって来た。


「ほのかおねーちゃん!」


 まひるちゃんが私の胸に飛び込んでくる。小さな身体を優しく抱くと、少し震えているが伝わる。


「まひるちゃん。ごめんね怖い思いさせて」

「ううん! わたし、ほのかおねぇちゃんがほのりんだったのがうれしい!」

「まひるちゃんと私の秘密だよ。他の人には絶対にバラしちゃ駄目だよ?」

「わかった!」


 無邪気に笑うまひるちゃんに癒やされると、私は奈々子ちゃんの治療を終わらせ、襲って来た3人を1箇所に集めた。


 影山かげやま遊間あすまは観念したのか投降し、不貞腐れながらも指示には従っていた。不二木ふじきは気絶しているだけで死んではいなかった。人殺しにならなくて本当に安心した。内心ヒヤヒヤしながら矢を放ったのだ。


「貴方達に聞きたい事があります。元渋谷ナンバーズが何故ほのりんを狙うのか。神峰かみねがバックについてますよね? 神峰の目的は?」

「……俺達は神峰のヤローに拾われただけだ」


 奈々子ちゃんの質問に遊間が答える。


「拾われた?」

「そこの女のせいでクランは解散、経営していた会社も神峰の会社に売った。俺達には何も無くなったんだ」

「先に手を出してきたのはそっちでしょ?」


 すかさず私は反論する。先に城神高校の生徒を拉致監禁し、私を挑発してきたの紛れもなく渋谷ナンバーズだ。


「不二木が神峰に頭が上がらないようだ。俺達もリベンジが出来るって話でついて来たに過ぎない」


 影山が悔しそうな表情で答える。


「神峰がほのりんさんをまだ狙っている事はわかりました。次はコレです、この腕輪は神峰が研究開発した物ですよね?」


 奈々子ちゃんが砕けた腕輪を遊間の前に落とした。不二木が身につけていた物のひとつで、赤い宝石は砕けてその効果は既に消失している。


「そうだ、それは神峰の会社が開発した物で、モンスターの魔石を使ってブースター系のスキルを発動させる物だ」

「本当にブースター系だけですか? 不二木は明らかにモンスター化していましたよ。他に効果があるんじゃ?」

「本当に何も知らねぇ。あんな化け物になるなら怖くて使えたもんじゃねぇ」


 影山や遊間の腕にも不二木が身に着けていた腕輪を着けていた。しかし、暴走はしていない。複数装着すると問題が生じるのだろうか? この手に詳しい人に相談する必要があるだろう。


「奈々子ちゃん、神峰って誰なの?」

「ほのりんさん失礼しました。実はこの腕輪に見覚えがあり、その神峰奏司かみねそうしが運営する会社が作ったと本人から聞いた事があります。また、解散した渋谷ナンバーズの元メンバーを引き入れたり、経営していた会社を回収したりと、裏で手引きしている人物だと思われます」

「ふむふむ。もしかしてそいつが悪の親玉かな?」

「まだ確証はないですが恐らく……」


 神峰奏司。私の正体を知っている以上、再度襲ってくる可能性がある。

 私は兎も角、周りの大切な人が狙われるのは困る。各機関に相談した方が良いかもしれない。


 私達が尋問をしていると、この地下空間から大勢の武装した警察官達がなだれ込んできた。

 その中のスーツを着た男性が敬礼して奈々子ちゃんの前に立った。


「須藤さん、お怪我はありませんか?」

「ええ、大した事はありません。そこにいる三人が私達の事を拉致したり暴行を加えた人達です」

「ご協力感謝します! よし、18:22、スキル使用による暴行容疑で現行犯逮捕だ! 確保!」


 やたらこの刑事は奈々子ちゃんにアピールしているなぁ。絶対に気があるよね〜。


 警察に連行される不二木達を横目に、いつの間にか白い謎生物の姿に戻っていたルル様に、木星のイエローサファイアを渡した。ルル様も空気を読んでか木星のイエローサファイアを胸に収めると、ご満悦な表情を浮かべるだけであった。


 そしてピコンっと電子音と共にウィンドウがポップアップした。


『魔法少女専用クエスト【魔法少女を狙う悪党を倒す】をクリアしました』


『魔法少女のランクが〈★☆☆☆☆→★★☆☆☆〉になり、各ステータスがアップしました』


 レベル なし

 称号 ナヴァトラナを集める者

 クラス 魔法少女〈★☆☆☆☆→★★☆☆☆〉

 ひっとぽいんと ☆☆☆☆☆→★☆☆☆☆

 まじかるぽいんと ★★★★★

 ぱわー ★☆☆☆☆→★★☆☆☆

 たいりょく ☆☆☆☆☆→★☆☆☆☆

 まじかる ★★★★★

 はやさ ★☆☆☆☆→★★☆☆☆

 うん ★☆☆☆☆→★★☆☆☆〉』


『EXスキル【もうひとりの魔法少女】が開放されました。スキルポイント消費して取得して下さい


「え? 何これ?」


 思わず声に出してしまった。


 ルル様に説明してもらおうかと思ったけど、まひるちゃんにしっかり抱きかかえられおり、事情を知らない警察官達に囲まれて、ルル様はぬいぐるみに徹しているようだ。


 いつでも聞けるからいいやと思い、スキルポイント1000ポイントを消費し、EXスキル【もうひとりの魔法少女】を取得した。


『【もうひとりの魔法少女】を取得しました。このスキルは対象者を【魔法少女】のクラスに就かせる事ができます』


 うわ……。やばいスキルだよこコレ……。私が選んだ人を魔法少女にするってことだよね? 一緒に戦えれば心強いけど、私と同じ心労を味わう事を思うと、あまりおすすめはできないね……。



 その後、面倒な調書をとったりして1時間拘束されてしまった。

 私の身分を証明する為にどうしようかと迷ったが、ダンジョンライセンスカードを見せると、なんとか納得してもらった。

 魔法少女の姿なのでみんなと一緒に帰ることもできずに、渋々まじかる☆ゲートを開くと渋谷ダンジョンに戻り、寂しくひとりで帰宅した。


 ▽


 日付が変わり、十条穂華が夢の中にいる頃、ルル様こと、ルルデミア=ロー=ゲーデルバイセルはダンジョンのとある階層にいた。

 そこは宇宙空間のような場所で、辺り一面を宝石を散りばめたような星空が綺羅びやかに輝いていた。

 そして、白い床の先、部屋の中央に白く美しい陶器で出来たような巨大な扉が部屋の中央に存在し、扉には巧みな技で彫られたであろう大木が描かれており、その大木からは7つの枝に分かれているのが見て分かる。


 そんな場所でルルデミアはノートPCを使用し動画の編集作業をしていた。


「ふむ。タイトルは元渋谷ナンバーズ対魔法少女ほのりん……いや、これでは捻りがないな……、犯罪集団渋谷ナンバーズを返り討ち! 正義の味方、魔法少女ほのりん☆ミ! がいいかな?」


 夜な夜なルルデミアはここで動画を編集しDTubeに動画を投降している。

 本来ダンジョン内ではインターネットやスマホの電波は届かないが、ルルデミアが使用しているノートPCは、唯一外界と繋がった電子端末だった。


 集中して動画を編集しているせいか、ルルデミアの背後に立っている人物に気づく様子はなく、ルルデミアはあーでもないこーでもないと言いながら動画を編集していた。


 そんな彼を見かねた人物がルルデミアに声を掛ける。その声は男性でも女性でもない中性的な声で、声変わりをしていない子供の声だった。


「ルル、進捗はどうだい?」


 突然耳元で声がしたのでルルデミアは背中をビクンッとさせ驚く。


「アルファミリアか、驚かすでない」

「随分と熱心に仕事をしているからね、いたずらしたくなったのさ」


 アルファミリアと呼ばれた人物はセミロングの白髪に黒いメッシュが入った、少女の姿だった。服装も無地の白いワンピースを着ており、会話からルルデミアとは親しい間柄だと分かる。


「少し待て、これをアップロードしたらひと段落だ」

「ふふふ。分かったよ」


 ルルデミアの姿を見て、アルファミリアは優しく微笑む。


「よし、終わった。今回も順調にエネルギーが集まっている。次のナヴァトラナの宝石が出来るのも時間の問題だな」

「それはなにより」

「してアルファミリアは最近姿を見なかったが、どこで何をしていたのだ?」

「僕? 少し退屈だったからね、外界の人間で遊んでいたんだよ。面白い人材も見つけたしね」

「……我々の計画に必要な人材なのであろうな?」

「それは勿論! あの魔法少女にとっても良い影響を与えると思うよ」

「神峰とやらに情報を渡してるのか?」

「いんや、そいつが召喚したモンスターにだよ。僕が手を加えた特別製でね。いい働きをしているよ」

「ふむ。まぁよい。残りの宝石も残す事4つ、我の願いもあと少しだ」

「良かったね。僕も楽しみだよ」


 残りのナヴァラトナ。

 月のパール。

 土星のブルーサファイア。

 ラーフのヘソナイトガーネット。

 ケートゥのキャッツアイ。


 ラーフとケートゥについては取得に条件があるが、この調子なら必ず発現するだろう。むしろ順調過ぎて怖いくらいだと思うルルデミア。


「ユグドラシルへの門を開く時がとうとう来るのかぁ。長いようで短いね」

「ここに来て10年。外界の人間は進化しつつある。我は希望者を集い、我の世界へ誘おうと思う」

「うんうん」


 ルルデミアの表情が優しく崩れる。普段のキリッとした雰囲気とは全く違う。それだけルルデミアはアルファミリアに対して心を許していた。


「アルファミリアよ、我は感謝している。いずれはこの恩を返さなければな」

「恩か〜。気にしなくていいのに」

「我の気がすまん」

「考えておくよ。……さて、僕は外で遊んで来るよ」


 アルファミリアはにっこりと笑うとダンジョンゲートを生成し中に入ると消えて行った。


 アルファミリアの背中を見送ったルルデミアは、再度ノートPCに視線を向けると、アップロードした動画の再生数が、前回の動画を越える速度で再生数が上がっていくのをただ見つめていた。


 

 



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