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憧れの魔法少女になれたけど、恥ずかし過ぎて死にそうです!!  作者: じゃむばた


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モンスター化

出現中で更新遅れがちです。来週から毎日更新できたらいいなーって思ってます。

 須藤と遊間が激しい攻防を繰り広げている頃、魔法少女ほのりんこと十条穂華は、2人相手に戦闘を繰り広げていた。


 不二木の攻撃を何度か受け、まじかる☆ドレスの耐久値が少し減ったが、大したダメージではなく、今は2人の様子を見ながら戦っていた。

 2人の戦法は影山が影を操り、対象の動きを止めた後に不二木がトドメを刺す戦法だった。

 何度もその攻撃を受けたので、なんとなくだけど、影山のスキルについて分かったことがあった。


 まず【影縛り】は影山の影を他の影に伝って対象者を拘束する。そしてその回避方法は、影山と繋がっている影に触れないように立ち回る必要がある。


 私はなるべく影が無い場所に移動すると、不二木と影山が苛立ちを隠せないのか、お互い罵り合い連携が崩れていく。


「おい、しっかり影で捕まえろ!」

「お前こそ何で一撃で仕留められねーんだよ! 手抜くんじゃーし」

「殺す気でやってる!」


 えええ……殺す気で殴ってきてるの? 勘弁してよもう。


 2人の会話を聴いているとウンザリしてくる。


 何故この人達に狙われているのかも分からないし、いい加減この闘いを終わりにしたい気持ちもある。

 何よりまひるちゃんを戦いに巻き込んでしまった責任もあるので、私はとても負い目に感じているのだ。


 渋谷ナンバーズの事件以来、大人しかった彼らが、また私を狙った事や私の身元もバレている以上、今後の事を考えてキツイお仕置きをしなくてはならない。


 まずは影で拘束されるのは嫌なので、先に彼から退場してもらおうか。


 近づくのは愚策だ。かと言ってまじかる☆スターライトは人には効果がない。ならば……。


「まじかる☆アクアプリズン!」


 オタマトーンの口から大量の水が噴き出す。せせらぎを彷彿させるような音色が流れ、まるでマーライオンそっくりに溢れ出した水が、意思を持った水のようにうねり、影山に向かって襲いかかる。


「な、なんだ!?」

「影山、それに捕まると溺死するぞ!」


 あ、もしかしてDTubeのマッドエクスキューショナー戦の動画見た? ルル様の広報活動も考えものだなあ……。私の手札がバレバレだよ。


 悪意を持った人が私を研究し、十分に対策をとった上で挑んできた場合、苦戦または敗北するかもしれない。

 ルル様はそこらへんを理解しているのだろうか? ルル様の考えがイマイチ分からないでいる。


 水を影で拘束することはできないみたいで、影山は回避に専念しているが、影山の動きを見るにアタッカータイプではなく、サポートタイプの非戦闘タイプなのだろ。動きが普通の人とそれほど変わらなかった。


「くっ、くそったれ! ……ぐあっ! ゴポッ、ゴボゴボ……」


 襲い掛かる水に捕まり水球に包まれる。

 凶悪なモンスターですら拘束する【まじかる☆アクアプリズン】は、ダンジョンランカーですら動きを封じる強さがあることが分かった。


 なるべく人間相手に使いたくはないが、悪党相手に手加減も情けも不要。しばらく眠っていてもろう。


 水の中でもがき苦しむ影山は、次第に動きがゆっくりになり、やがて止まった。

 このままだと不二木が言ったとおりに、影山が溺死してしまうので、まじかる☆アクアプリズンを解くと水球が弾け、大量の水と共に影山がコンクリートの地面に横たわる。

 ゴホゴホと水を吐き出しているので、死んでいないだろう。


 私は不二木に身体を向けると、彼に話しかけた。


「渋谷ナンバーズの白石っていうホストが城神高校の生徒を襲った事件、貴方が指示したの?」


 白石本人は私に懸賞金が掛かっていたと聞いたが、それが真実は定かではなかった。

 また、ニュースでは事件の動機までは分からなかったが、奈々子ちゃんに後日談を聴いたところ、渋谷ナンバーズの複数のメンバーが犯罪に関与していた事が判明し、渋谷ナンバーズは解体されたと聞いた。

 結局、私に掛けられた懸賞金の事は分からなかったが、目の前に元渋谷ナンバーズのトップがいる。直接に彼に聞いた方が早いだろう。


「俺はただ、お前を捕まえれば100億の報酬をくれてやるって言っただけだ。あの事件は白石の馬鹿が勝手に動き、ガキどもを巻き込んだ結果、ああなった」

「100億の報酬……それは誰が出すと言ったの?」

「さぁな」


 言う気はないか……。

 あのホストも100億の報酬が貰えるとかなんとか言っていたし、不二木が報酬を出していないとなると、私を狙う黒幕が存在するってことよね。


 再度私を襲ったのなら警察に突き出すなりなんなりして、自供してもらったほうが良いかもしれない。


 このまま話してても拉致が明かないと判斷した私は、不二木対して戦を挑んだ。


「嫌でも話してもらうわよ」

「ふん、女に負けられるか」


 不二木は指をボキボキと鳴らし、私に殺気を向ける。


 この人達って私を捕まえに来たのに殺しにかかってるよね。本来の目的を忘れているなんてどういうこと?


 不二木の様子が先程からおかしく、目をギラギラさせ正気をとは思えない表情を浮かべている。

 何度か攻撃を受けて気づいたが、不二木の攻撃力と速度が上がっているように感じる。

 スキルの効果なのかそれとも……。


 【跳躍】を使い飛び蹴りを放つと、不二木は私の攻撃を回避し私の足を掴むと、身体を硬いコンクリートの地面に叩きつける。


「オラッ!」

「ぐっ!」


 『まじかる☆ドレスの耐久値が86%になりました』


 もっと慎重に戦わないと!


 相手はダンジョンでも強く、対人戦にも慣れた相手。下手な攻撃は逆手に取られる。

 クラヴマガで習った事をはあくまで護身術だ。実践だと非常に難しく、相手も私の動きを見て格闘技を少し噛んでいると勘付いている。

 スキルの出し惜しみをしている余裕は無さそうだ。


 私は下半身を持ち上げ、足を回転させながら起き上がると同時に蹴りをお見舞いさせる。


「ちっ! 足グセの悪い女だな!」

「そりゃどうも」


 すかさずパンチを数発放つがガードが固く、思ったよりダメージが通らない。


 あれ? モンスターも簡単に吹き飛ばせる威力があるのにな……。


 渋谷ダンジョン40層のモンスターですら、殴っただけで倒せるのに、不二木はガードを突破できない。

 何故なんだろうと困惑していると、ルル様の声が聞こえてくる。


「ほのりん、そいつの様子がおかしい。ステータスが激しく乱高下している」


 え? どういうこと? 【モンク】のスキルなのかな?


 ルル様の言葉に耳を傾けながら不二木との戦闘に集中する。


 ……やはり、様子がおかしい。

 目が血走り、涎をたらしながら獣のように襲ってくる。


「やつの腕輪だ! ブースター系の能力が付与されているが、恐らくそれが暴走しているぞ!」


 両腕……いや、両足首にも装着されたアクサセリーは赤い宝石が組み込まれ輝いている。

 4つのアクサセリーが暴走しているのか、常人を遥かに超えた力を引き出しているようだ。


「ブッ殺す!」

「!? はやっ!」


 咄嗟にまじかる☆シールドを展開するが、2枚中1枚を破壊し止まった。


「ほのりん【剛力】パーンチ!」


 不二木の腹部に拳がめり込む。

 拳を捻り、腕を振り切る。


「ぐううおおっ!」


 手応えを感じた一撃は、不二木を太い柱に激突させる。

 広い空間に轟音が反響すると、その威力がどれほどだったのかが分かる。


 ふぅ……。っと息を吐くと、遊間との戦闘が終わったのか、奈々子ちゃんがやって来た。


「遊間と影山の拘束は終わりました。また、JHAと公安にも連絡したので直に救助が来るでしょう」

「ありがとう奈々子ちゃん」


 今いる場所は分からないけど、奈々子ちゃんが連絡したと言う事は、ここがどこだか分かるみたいだ。


「……不二木はまだヤル気みたいですね」

「しぶといな〜。なんかあの腕輪が暴走しているらしくて、私でも一撃で倒せないのよね」

「あの腕輪は……厄介ですね」

「奈々子ちゃん、一緒にアイツを倒そう」

「そうですね、不二木を倒せばバックについている神峰についても詳しく分かりますし」


 神峰? 誰それと聞こうとした時、不二木が声にもならない雄叫び上げながら、こちらに向かって走って来るのが見えた。

 硬いコンクリートの地面を踏み砕き、迫るその姿は獣と言うよりモンスターと変わらない雰囲気を発していた。


「菜々子ちゃん、攻撃は受けないで回避専念で」

「分かりました」


 短い返事の後に不二木が拳を振り下ろし地面を抉り、コンクリートの破片が中に舞う。

 ゆっくりと流れる体感時間の中で私は側頭部めがけてオタマトーンをめいいっぱい降る。


 鈍い音と共にオタマトーンから音が鳴り、不二木の姿勢が崩れる。

 

「はぁぁ! 【アサルトドライブ】!」


 右足首に装着されたアクセサリーに目掛けて高速連続突きが放たれると、右足の肉を刳りながらアクセサリーを砕き、赤い宝石が力強い光を一瞬放つと砕け散った。


 追い打ちをかけるように、私も左腕に装着された腕輪に対して踵落としを決めると、腕輪と一緒に手首の骨ごと砕ける感触が伝わってくる。


「ぐあああああ!」

「あと2つ!」

「行きます!」

「あ! 待って!」


 菜々子ちゃんが右手首に装着された腕輪を破壊しようとする瞬間、折れた右腕で菜々子ちゃんを殴りつける。

 咄嗟にガードしたが、それでも10m以上は吹き飛ばされてしまった。菜々子ちゃんの怪我も気になるが、不二木をどうにかしないと助けられない。

 

「もう! これじゃ、モンスターと戦っているみたいじゃない!」


 まるでモンスター。

 瞳の色はモンスター達が発する赤色に変わり、肌の色も緑色に変色していた。

 体格も今の1.5割り増しくらいになっており、オーガだと言えば誰でも信じてくれるだろう。


 不二木の攻撃を回避し、腕を掴み思いっきり投げつけ吹き飛ばすと、ルル様の声が聞こえてくる。


「ほのりんよ、薄々感づいているかもしれんが、其奴はモンスターに成りかけておる。早く開放しなくては助からんぞ」

「……やっぱりモンスター化してる?」

「うむ。あの腕輪についている赤い宝石は魔物の魔石を加工した物だろう。その魔石からエネルギーが逆流しており、使用者に悪影響を与えておる」

「どうすれば良い?」

「既にモンスター化が始まっている状況では腕輪を破壊しても駄目だろう。だが、今ならまじかる☆スキルで倒す事が可能かもしれん」


 まじかる☆スキル。

 まじかる☆スターライトかアメイジングコスモによる攻撃だ。本来なら人に効果は及ばさないが、半モンスター化した今なら倒せるかもしれない。

 しかし、これを使って倒せたとしても彼は無事なのだろうか? 最悪死んでしまう可能性もあるかもしれない。


 賭けだけど……やってみるしかない。あの人は悪党だし救いようのない人だけど法律で裁かれるべきだ。

 偽善者だと言われても仕様がないけど、結局誰かが後始末をしなくてはならない。


 私は覚悟を決め、まじかる☆スキルブックからまじかる☆アタッチメント【アメイジングコスモ】を取り出す。


「まじかる☆アタッチメント!【アメイジングコスモ】オン!」


 虹色に光る宝石をオタマトーンの口の中に入れると、オタマトーンが輝きだす。


『オタマトーンが形態変化します』


 オタマトーンの形状が変わり、星を散りばめたような美しい弓が現れる。

 弦を引くと光輝く矢が現れ、鏃に虹色の光が収束する。


 不二木が起き上がり、私に向かって走り出す。

 鬼気迫るその表情に私は息を飲むが、鏃の先に意識を集中する。


 胸の奥が疼く。

 私の感情を支配するのは、怒りと恐怖と、彼を救ってあげたいほんの小さな慈悲だけだ。

 

 モンスターの部分だけ消えますように…………。



「銀河を駆け抜けろ! アストラルシューティング……スターーーッ!」


 一筋の光の矢が不二木の身体を貫き、その背後に満点の星空が広がった。



読んでいただき、ありがとうございます。

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