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憧れの魔法少女になれたけど、恥ずかし過ぎて死にそうです!!  作者: じゃむばた


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ベルフェゴールの魔玉

視点がコロコロ変わりますので注意。

 日本トータルバイオミィテイクス東京本社ビルの社長室に電話の着信が鳴り響く。

 神峰奏司は軽く溜息を吐くと、受話器を取って対応する。


「……通せ」


 社長室の扉が開くとひとりの少女が入って来た。


「お呼びですか神峰社長」

「うん、よく来たね。南本りぼん」


 渋谷ナンバーズが経営していた芸能事務所を神峰が買収し、南本りぼんは現在もその芸能事務所でアイドル歌手として活動していた。


 南本りぼんは自身が所属している芸能事務所が、まさか世間を騒がした渋谷ナンバーズの子会社だとは知らなかったのだ。

 結果的にはベンチャー企業だが、ダンジョン関係でも評判が良い日本トータルバイオミィテイクスに買収されて、南本りぼんは内心安堵したものだ。

 お給料も以前より3倍になったし、部屋も豪華になり数ヶ月前まで人気の無かった極貧アイドル時代と比べると雲泥の差だった。


 南本りぼんは何度か神峰社長と会った事があったが、食事をしたりダンジョンの話を聞かされるだけで特に進展が無い事に少し不満だった。

 神峰社長は若くして会社を立ち上げ、今では十条グループと取引をし、最近では公共事業にも貢献しているので、ここ数ヶ月でよく聞く会社の名前のひとつにもなっていた。


 そんな南本りぼんにとって神峰社長は、どストライクの男性だった。

 今日、神峰社長の部屋に呼ばれていたので気合を入れて化粧をし、流行りの服を来て勝負下着を身に着けて気合十分で挑んだのだ。


「そこに掛けて」

「失礼します……きゃ!」


 高級感溢れるソファーに座るよう言われ、恐る恐るソファーに座ると、思ったよりも柔らかく深く沈んで驚いてしまい、静かな部屋に自分の声が響くと急激に恥ずかしくなり顔が真っ赤になるのが分かった。


「大丈夫? みんな驚くんだよね。僕はその柔らかさが好きでさ、たまにそのソファーで寝るくらいだよ」


 これは人を駄目にするソファーだ。

 南本りぼんも最近CM撮影した時に柔らかいソファーに座って寝るシーンを撮ったのが記憶に新しい。

 そんな物が社長室にあるなんて驚きだが、社長になるくらいだから奇抜な物が有っても不思議ではないかもしれない。


「今日、君に来てもらったのはね、贈り物があるんだ」


 神峰社長がテーブルの引き出しから小さい箱を取り出すと、南本りぼんの前のテーブルにそっと置いた。


 開けてみてと言われ、ゆっくりと蓋を開けるとネックレスだろうか? 綺麗な細工が施されたベゼルには赤く輝く宝石がはまっており、その輝きに吸い込まれるような錯覚に陥るほどに輝いていた。


「あの……これは?」

「頑張っている君へのご褒美だよ。さぁ、着けてあげるよ」


 高鳴る鼓動を必死に抑えていると、神峰社長が背後に周ると、ひんやりとしたネックレスが首筋に伝わる。


「……っ!?」


 ドクンッと身体中に、何かが駆け巡るような衝撃が走ると、視界がぼんやりと歪む。


「リラックスして、すぐに慣れるから」


 神峰社長の声がダブって聞こえる。


 意識が何かに上書きされるような感覚が襲うと、南本りぼんの視界はぐるぐると回り、意識が遠のいていった――。


 ▽


「……」

「僕の声が聞こえるかい?」

「はい。神峰様」

「これから君は僕の為に尽くすと誓えるかい?」

「神峰様に私の全てを捧げ捧げる事を誓います」


 満足そうな表情を浮かべる神峰。

 うっとりととろけるような表情浮かべる南本。


 胸元に輝くネックレスの光はいっそう輝き、力を増していく。


「南本りぼんの洗脳はいかがですか?」


 部屋の薄暗い角から突然現れたリリスに特に驚くような反応はしなかった神峰。普通の人がいきなり現れたリリスを見たら腰を抜かすだろう。


 神峰は南本の背後から両肩に手を乗せ優しく撫で、リリスに語りかけるように話す。


「計画は順調。南本りぼんの洗脳も完了。南本りぼんの歌声を世界中に届ければ、僕の計画の9割は完遂したも同然だよ」

「それは良かったですね」


 神峰は自分のテーブルに戻り、ウイスキーボトルからグラスに注ぎ香りを嗅ぐ。芳醇な香りが鼻孔をくすぐり、ひと口飲めば香りが広がり、喉をピリッと焼くようなアルコールを感じる。


「ところで魔法少女はまだ捕まらないのか?」

「先程警察の方から不二木とその他が逮捕されたそうです、恐らく任意調査が入るかと」

「警視庁のトップ達に、このベルフェゴールの魔玉が付いたアクサセリーを送ってくれたかい?」

「はい。大変喜んでおられましたよ」

「そうかい。なら、不二木の件は揉み消しておいてくれと伝えておいてくれ」

「畏まりました」

「あ、そうだ」


 部屋から出ようとするリリスを神峰は呼び止めた。


「はい?」

「十条グループの十条 倫成じゅうじょうみちなり氏と例の件について返事をして欲しい。内容は十条 穂華と正式にお見合いをしたい、とね。リリス頼めるか?」

「問題ありません」

「頼んだよ」


 リリスと南本を見送った後、グラスに入ったウイスキーを一気に飲み干すと、自然と笑みが溢れてくる。

 もうすぐ目的が達成出来るところまで来ている。神峰は今が楽しくて楽しくて仕様がない、早くこんなつまらない世界に終止符を打つために……。


 

 ▽


 リリスは神峰に言われた通り十条 倫成のメールアドレスに神峰に言われた内容を送信した。そして、警視庁長官に連絡を取り、不二木達の事件をもみ消すように伝えると二つ返事で返ってきた。

 警視庁長官や政治家、そして南本りぼんにも身に着けさせたアクセサリー、ベルフェゴールの魔玉の効果で忠実な下僕に変える事に成功していた。今後も有力者にはこのアクセサリーを身に着けてもらって操る予定だ。

 

「さて、後は東京留置所にいるあの3人を確保して改造しますかね」


 日本トータルバイオミィテイクス東京本社ビルの屋上から東京の街並みを眺める。

 この外界は物に溢れ、下等な種族で溢れている。

 そんな下等な生物にこき使われている自身が許せないが、至高なる御方の為に誠心誠意仕事をするだけである。


 リリスは神峰の財力を使って秘密裏に行っている実験がある。

 神峰には、ダンジョン攻略に必要な装備を作ったり、ハンター達を訓練していると言っているが、100人の強靭なハンターを集め非人道的改造実験を行っているのだ。


「至高の御方の為に……ふふふ」


 リリスは屋上からゆっくりと身を投げると夜の東京に消えていった。



読んでいただき、ありがとうございます。

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