エピローグ
「――その女の子はその時代で、魔術師として生きることを決めたの、もちろん幸せに。……これがこのお話の全て」
満足そうに頷きながら「物語はこうでないと!」と言う彼女に、笑みが溢れる。
――コンコンコン
ノック音が止みドアが開く。
「あら、ここに居たの? おばあ様にご迷惑掛けてない?」
「迷惑なんて掛けないわ! お話を聞いていたの」
気付けば窓からも少しだけひんやりとした風がはいるようになっていた。
空の色はまもなくオレンジで染まるのだろう。
「あら、いつの間にかかなり時間が経っていたのね。私も少し眠くなってしまったしこれでおしまいにしましょう」
「それならご飯までゆっくり休んで。沢山お話してくださって本当にありがとう! 私行くわね!」
「ええ、気を付けて。此方こそ聞いてくれてありがとう」
手を振ってパタパタと部屋を出ていく。「走らない」と注意をうけ「はーい」といじけた声が少し遠くに聞こえた。
久々に話をしたせいだろう、会いたいなと思ったのは。
ベッドから立ち上がり、ゆっくりと移動する。こんな距離の移動も少し息がきれてしまう。そんな自分が可笑しくて「ふふっ」と声が出た。
机の引き出しに手を掛け、それからゆっくり引きだした。
小さな小箱が一つ。
そのまま机の椅子に座り、小箱を開く。
中に入れてあるのは、エメラルドのあしらわれたイヤリングと、少し黒っぽくくすんでいるドックタグ。そのドックタグにはアクアブルーのチャームがついている。
懐かしい。そう思いながらチャームの刻印を優しく指で撫でた。
――想いは時を越えて
ドックタグを取り出すとジャラジャラと音がした。手の中におさめるるとひんやりとした感覚が心地よい。
ふぅ、と息をつき机に伏せた。顔を傾けドックタグを眺める。
「……不思議ですね、何だか今日は……貴方に会える気がするんです、ふふ」
少ししたら孫が起こしにきてくれるかしら。
少しだけ、寝ようかな。
変なの、ドックタグってこんなに重かったかしら。
暖かい。
ふふ、私は幸せね。
今日はきっとルシウス様に会える。
そんな気がするわ――
~fin~
これでこのお話は完結です。最後までアリシア達を見守って下さり、本当にありがとうございました。
ゆっくりと目を閉じたアリシアはきっと、この物語では語られなかった幸せな出来事を思い出し、ルシウスに会った時に笑いながら話しているのだと思います。
感想、評価、レビュー……頂けるとすごく嬉しいです、励みになります!お手間ですが、もしよろしければよろしくお願いします(*^^*)
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
また新たなお話で皆様に会えることを願って。
みなさまが幸せであることを――
X:@sheepzzzmei




