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余次元住まいのハザマ様!part7 御影の光 編  作者: 山桃


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美しき毒をかわす

室生 初音 : 地方の芸大生 

     室生本家のお役目候補


ハザマ様 =室生(むろう) 透青(とうせい)

      室生家の巫覡(ふがき)をしている。

      中の人は月島(つきしま)秀青(しゅうせい)で芸大の助手をしていた


室生 御影(みかげ) : お役目様の内孫三人衆の内一人

     霊的能力を持つ 初音の婚約者


雨宮 青児(せいじ) : ハザマ様の異母兄弟 絵の才能が凄い


賑わう学食の喧騒の中、向かい合わせで昼食をとっていると、青児さんは探るような視線を向けてきた。


「室生さんの彼氏、追悼展の片付けの後にちょっとだけ見たけど……どういう人なの?」


「嫉妬深くて……とても不器用な人です」


私は箸を止め、少しだけ視線を落として答えた。


「それは、この間見てわかったよ。僕が聞きたいのは、君が彼のどこに惹かれたか、ってこと」


「一見、辛辣な言葉を吐くんですけど、実は裏腹で、私から使用人の方にまで細やかに気を遣ってくれるんです。この間なんか、高校に行けなかった子にお金と住むところを提供して……」


私が言い終わる前に、青児さんは意地悪くふっと笑い、話の腰を折ってきた。


「その子って、若い女の子じゃなかった? あとあと、その子が愛人か君のポジションになるかもしれないよ。あまり人を信用しない方がいいと思うけど」


この言葉を聞いて、私は確信した。

――青児さんは、私の中の御影様に対する印象を下げたいんだ。それか、自分が他人を利用して生きてきたから、そういう風にしか考えられないんだわ……。


「あの方は、普段から接していないと本当の優しさがわからないんですよ。損得抜きに行動される方ですから」


揺さぶりには乗るまいと、私は努めて冷静に言葉を返した。

「それに、私は青児さんの本質をすべて見抜いたじゃありませんか。私の観察眼が、そんなに鈍いとお思いですか?」


「……ひとつだけ、見抜いていないことがあるよ」


彼は食事の手を止め、目を細めながら、どきりとするような声色で言ってきた。

これ以上踏み込ませてはいけないと、直感が告げている。


「いえ、聞きたくないです。……それよりも坂井さんのこと、ちゃんとお付き合いされているんですか?」


私はあえて核心を避け、強引に話題を逸らした。


「彼女には最初から、『僕が君を好きになることはない』と伝えてあるんだ。今まで誰に対しても本気にならなかったから、正直にね」


青児さんは悪びれる様子もなく、まるで今日の天気を口にするかのように、こともなげに言った。


目の前でティーカップに手を添える彼の横顔は、恐ろしいほど整っていて、そしてどこか冷ややかだ。


――何故、人はこんなにも美しく危険な人に寄って行ってしまうのだろう。

ハザマ様が言っていたように、魅力の『魅』という漢字には鬼が住んでいる。

自分を壊しかねない危険なものに触れるとき、人は無意識にアドレナリンを分泌させて、それを快感だと錯覚してしまうからなのだろうか……。


「……仮に、青児さんが誰のことも本気で好きにならないとしても、青児さんを好きになって寄ってくる人たちも、みんな心を持っているんです。だから、坂井さんのことも丁寧に扱ってあげてほしいです」


それだけを青児さんに静かに告げると、私は自分のアトリエへと戻ろうとした。


「——君の卒業制作の下描き、見たよ」


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