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余次元住まいのハザマ様!part7 御影の光 編  作者: 山桃


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2/19

魅力の「魅」には、鬼が潜んでいる

室生 初音 : 地方の芸大生 

     室生本家のお役目候補


ハザマ様 =室生(むろう) 透青(とうせい)

      室生家の巫覡(ふがき)をしている。

      中の人は月島(つきしま)秀青(しゅうせい)で芸大の助手をしていた


室生 御影(みかげ) : お役目様の内孫三人衆の内一人

     霊的能力を持つ 初音の婚約者


雨宮 青児(せいじ) : ハザマ様の異母兄弟 絵の才能が凄い

私の結婚は、誰にも純粋に祝ってもらえないのだろうか。

そんなもやもやとした思いを抱えながら、私はふらっと室生の本家へ足を向けていた。


ハザマ様なら、きっと手放しで祝福してくれるはずだ。美麗さんとの仲も順調だと聞いているし、何より、青児さんから心からの祝福をもらえず少し寂しかったので、その愚痴も聞いてもらいたかった。


「こんにちは、ハザマ様。ご機嫌伺いに来ました」

客間に顔を出すと、ハザマ様は私を見て、ふっと顔をほころばせた。


「初音か。もうすぐ結婚だな。今が一番楽しい時期だろう」


「ハザマ様も、もうすぐですよね?」


私が明るく返すと、彼は穏やかに頷いた。

「ああ。式の日取りで、先方と話し合っているところだ」


「美麗さんの白無垢姿、綺麗だろうな〜」


彼らの結婚式は、厳かな神前で執り行われるそうだ。その情景を想像して頬を緩めながら、私も早く御影様と一緒に婚姻届を出しに行きたいな……と胸を弾ませる。


そんな風に和やかな空気に浸っていた時だった。

ハザマ様がふと、先ほどまでの微笑みを消して真顔になった。


「時に、初音。お前、また貞操帯を着けておきなさい。危険が迫っている」


「……えっ?」


あまりにも唐突で物騒な単語に、私は思わず声を漏らした。


「御影のことだ。もし何かあれば全てバレるからな。迫られても、ちゃんと物理的に拒否できるようにしておけよ」


「えええ!? 誰ですか、私なんかを襲いたい奇特な人って!」


冗談かと思って目を丸くする私に対し、ハザマ様は静かに、しかしはっきりと告げた。


「私の異母弟……雨宮青児だ」


「……え?」


「お前は残酷なまでに鈍いな。もともと青児は、他人のものを奪うことに快感を覚えるタイプだ。女など向こうからすぐに寄ってくるから、つまらんというのもあるだろう。だが……それに加えて、あいつはお前に本気で好意を持っている」


「!! え? そうなの……ですか?」


「お前は天然だからな。全く気づいていないだろうなとは思っていたが」


ハザマ様の言葉に、私は息を呑んだ。

――だから、あの時あんなに塩対応だったんだ……。

ここに至って、ようやく青児さんの言葉や態度の意味が繋がり、背筋に冷たいものが走った。


「でも、この間、青児さんに『君を見ているとイライラする』と言われたんですよ……? なんでまた、それが好意に……」


私が混乱したまま疑問をつぶやくと、ハザマ様は静かに教えてくれた。


「初音は『シャイニング』という映画を知っているか?」


「ええ。あの有名なホラー映画ですよね?」


「あの続編の『ドクター・スリープ』で明かされるんだが、特別な能力を持つ者は、霊から見ると文字通り『輝いて』見えるんだ。だから、その光を渇望する飢えた霊たちが引き寄せられてくる。……初音も同じで、青児が欲しくてたまらないものを持っているからだ」


「彼の方が私なんかより、よっぽど才能や容姿に恵まれて、社会的に愛されているのに……」


納得がいかず不満そうにこぼすと、ハザマ様は達観したような声で返してきた。


「社会的に愛されるというのは条(・)件(・)付(・)き(・)の(・)愛(・)であって、無私無欲の愛じゃないからだろうな。光に蛾が寄ってくるのと何ら変わらない。初音は無自覚に、そういう純粋な白い光を発しているから……」


「青児さんは、蛾と一緒ですか……」


「魅力の『魅』の字には、鬼が住んでいる。あいつには気をつけろよ」


ハザマ様はそう言って、私を案じるように静かに目を細めたのだった。


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