4.とりあえず、始まりの村へ
ベルカはライカの肩を持ち、ブンブンと振った。
「この能力を絶対変なことに使わないでね!」
能力…?
「うん…わかった……?」
「…とりあえず、最初の村に行きましょ」
ベルカは切り替えた。一生こんなことをやっていてもライカは楽しくないだろうし。
「じゃあ、掴まって」
ライカに手を握らせる。
そのままベルカはメニューを開き、『最初の村へ』を選択し、テレポートした。
青っぽい緑色の光に包まれて、その光達がパリンと割れる。次の瞬間には『最初の村<jp102>』と画面上に表示されて、数人のプレイヤーのいる牧歌的な村に着いた。
「…ここが最初の村?」
「そう。正確に言えば日本サーバーの第102号にあたる『最初の村』」
ベルカはそう答える。
……最初の村…多すぎない?
メニューを開くと、地図という項目が増えていた。
開いてみると、現在地がわかった。中央部分の巨大都市『ジルコニア』…から遠く離れた外郭地帯。その外側には『冥界』というのが広がっていて、地図の表示では灰色をしている。
右上にある『同時接続人数』は1億辺りを維持していた。
…恐ろしい。
「ライカ、まずどこに行きたい?」
「…特にないけど」
自然とそう答える。
本当は服屋あたりで買い物をしたいけど、ライカはそんなこと口にしない。
ただ、ベルカは彼女がさっきからチラッと服屋の方向を見ていたのを知っているので、偶然を装い、提案することにした。
「まだセーラー服だけだと足りないだろうし、何か服屋で追加の装備でも調達する?」
「…ベルカがそうしたいのなら、良いよ」
無表情。ただ、心の中は喜びでいっぱいだった。
来華の中身の少女はかなり薄く、そして細いタイプである。
そのせいで来華はかなり肉付きが少なく、そして細い。
「合う服ある?」
ベルカは少し心配するような眼差しでそう聞いてくる。
「…別に、無いなら買わなきゃ良いんだし」
ライカはそう答えた。
店に入ると、目の前のカウンターにはNPCの商人がいて『いらっしゃいませ』と声をかけてきた。
商人はベルカに向けて言う。
「お一人様ですか。どのような商品をお探しで?」
その言葉にベルカとライカは顔を見合せた。
「……もしかして、NPCが対応を行う対象の枠から外れてるんじゃない?」
ベルカは小声でライカにそう言う。
ライカは肩を落とした。
…せっかく服屋で何か買えると思ったのに。
ベルカはそれを見て、すぐに踵を返した。
「すみません。お店を間違えたみたいです」
そう言って、ライカの手を掴みながら店を出る。
「…本物のプレイヤーが運営してる服屋に行こっか」
ベルカはそう提案する。
ライカは悲しそうに俯いていたが、その言葉に少し期待することができた。




