37.この世界には何故か悪者が多い
「………なんで、こうなったんだろう」
そう呟くライカは、ツィタデレ城の自室のバルコニーで、ぼうっと外を眺めていた。
そこから見える、城壁の外側にはプレイヤー500人規模の…それなりに大きな軍勢がいるのだ。
掲げられた大旗は見覚えのあるもので、『サクラメント政府』のソレである。
「ライカ…あれ、相手するの?」
その規模に若干引きながらベルカはそう言った。
「……そうしないと、多分帰らないでしょ?どうせ『弾く』と『通常攻撃』だけに絞ればMP使わないし、長期戦にもそれなりに耐えられる」
2人はため息を吐いた。
「…ベルカは、ここで見てて。一人でやった方が…思い切りやれるし、レベル上げに良いから」
ライカはローブのフードを被るとそう言って、バルコニーから飛び降り、城壁の外側へ移動を始めた。
…実のところ、この時点でライカとベルカ、どちらとも『持ち物』の存在をド忘れている。
そんなこと2人はもちろん気づくことなく、ライカは廃墟を走って、城壁に到達し、超えた。
そこには相変わらず、500人近いプレイヤーがいた。
西部劇の服を着た部隊や、近代付近で着られていそうな質感のスーツを着た部隊…一次大戦期の米軍の制服を着た部隊なんかもいる。
指揮官らしき…女?はスッとした姿勢で、官帽を深く被って、俯いていた。
その服は灰や黒を基調として、赤をアクセントとして幾らか採り入れた…かっこいい悪役チックな制服であった。
「あの…」
近づいて話そうとする。
「あ、貴女が…えと…この城の城主…ですか?」
小さすぎて聞き取りにくい。
ライカは頭ごと耳を女の口元に近づけ、それを聞いた。
「そうですけど。なんでこんなところにいるんですか?」
「あ…その…すみません。えっと…まず…うちの部下によると、貴女はすごく圧倒的な力で、敵を薙ぎ倒してくれる…みたいで…その…」
ライカにしか見えないところで女はその小さい口をアワアワと動かしている。
最適な言葉が見つからないらしい。
「……何か、討伐を手伝って欲しい相手が?」
「いや…違うんです…その……私たちを薙ぎ倒して欲しくて………も、もも…もちろん報酬は払いますよ?」
女はそう言った。
ライカは困惑したものの、理解した。
とりあえず、ここにいる全員を圧倒的な力を見せつけながら殺せば良いのだろう。
「報酬は?」
「えっと…貴女がもし新しいギルドを作った場合は、私達がそこに加盟することを約束する…というのが……報酬です」
…そういえば私、ギルド作れたんだった。




