35.ダンジョン
ライカとベルカは今、ダンジョンに来ていた。
実績解除のため…もあるものの、レベル上げの側面が強い。
ライカにとっては初めての経験で、ベルカに手を引かれながら、キョロキョロと周りを見ていた。
広がるのはそこそこ暗い洞窟。
2人が今いるのは地下であった。
より正確に言えば、始まりの村の真下である。
…実のところ、透華は割と暗いところが苦手である。
というか、最近苦手になった。
一人だった頃は耐えられていた暗闇も、一人が寂しくなった今では…寂しさを思い起こすトラウマの1つでしかない。
なので、ライカはベルカの後ろに引っ付いていた。
「…ライカ?」
「……な…何?」
そう少し震えた声で言うライカを見て、少しベルカは揶揄いたいという感情が宿った。
「んー…怖いね…お化けとか出てきそう…」
ベルカがそう言うと、ライカは小首を傾げた。
「…そんなモンスターが出てくるの?」
ベルカは苦笑した。別にお化けとかそういうのを怖がっているわけではないらしい。
「んんと…何が怖いの?」
思い切って聞いてみることにした。
「…………こ…怖くない」
言いたくないらしい。
「わかった。まぁでも、怖くなったらいつでも言ってくれたら良いからね」
ベルカはそう言い、ライカをポンポンと撫で、そして前進を再開した。
ダンジョンには様々な生物がいる。
例えばスライムや、大きな蜘蛛なんかが代表的だろうか。
それらの生き物達は、ベルカには牙を剥いたが、ライカにはなんのアクションもしなかった。
…まぁ、多分、職業のせいだろう。いや、もしかすると大型種は人外に敵対されないのかもしれない。
ただ、そんなことは関係ない。ライカはレベル上げのためだと自分に言い聞かせ、『ヒヒイロカネの狩刀』で敵対モンスターを不意打ちし、殺した。
…殺せば殺すほど、だんだん、ライカの本性のような…透華とは違う一面が出始めた。
彼女はベルカには隠れるよう指示し、一人で前進した。
これはベルカが見つかって、無駄に暴れ回られないようにするためである。
「くふふっ…くふふふっ!」
手の甲で口を押さえながら、しかし笑い声を抑えられない。
もう一方の手には、これから殺すモンスターの頭があった。
…いや、首を切り取ったのではない。
ただ撫でているのだ。
そのモンスターはかなり大きく、ただライカのことを見ていても静かに、ただ動かない。
ぐしゃっ
ライカは物理攻撃力が高く、その値がそのまま刀にも載るため、かなり強い。
そのため、大きなモンスターは一撃で殺された。
少し後ろから、隠れてそれを見ていたベルカは…暗闇が少しトラウマになった。




